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腰部脊柱管狭窄症の基礎①

腰部脊柱管狭窄症(LCS)のリハビリって何するんですか?

意外と答えられない人いませんか。
脊椎関連の疾患を苦手意識しているセラピストって意外と少なくないですよね。

今回は腰部脊柱管狭窄症についての基礎知識をまとめて行きたいと思いますので、復習がてらに読んでいただけると幸いです。

腰部脊柱管狭窄症の概要

疫学

・有病者数推定580万人
・有病率約10%
・性差なし

日本では高齢化が進んでおり有病者数はどんどん増えてきていると言われており、今後LCSに関わる頻度は増えてくることが予測されますね。

症状

・殿部〜下肢痛、痺れ
・間欠性跛行
・運動/感覚の麻痺
・腰背部痛
・膀胱直腸障害   ....

代表的な症状に殿部〜下肢痛、痺れ、間欠性跛行は臨床でもよく聞きますよね。それらは体幹の伸展で症状が強くなることも有名ですよね。
酷くなってくると運動麻痺や感覚麻痺が出てきたりする方も少なくないと思います。
さらに酷くなると膀胱直腸障害などの馬尾障害が強くでできて、手術適応ってこともあるかと思います。手術適応の膀胱直腸障害等の症状は臨床で見逃さないように注意することも大切ですよね。

腰部脊柱管狭窄症に多い悩み

・歩くのが辛い(16.9%)
・長時間歩けない(10.2%)

これは大日本住友製薬株式会社のWeb調査の結果で学術的な価値はあまりないかもしれないのですが、「歩くのが辛い」「長時間歩けない」といった訴えが多く、症状によって「外出しなくなった」「歩かなくなった」「旅行やレジャーをしなくなった」という方が非常に多く、ADLやQOLに直結するような疾患なんだなってことがわかりますよね。
私も旅行やレジャー大好きなので腰部脊柱管狭窄症で歩けなくなったら絶望です....。

腰部脊柱管狭窄症の原因

原因は大きく分けると他の疾患と同じように先天性のものと後天性のものに分かれます。

先天性(発育性)
・特発性(なんでなるか分からないもの)
・軟骨無形成症状に続発するもの

後天性
変形(骨性)
変性(靭帯)
・椎間板ヘルニア
・すべり症
・外傷
・腫瘍  ....

多くは後天性の加齢に伴う退行性変化が疾患の基盤になっていることが多いと言われています。
特によく聞くのが黄色靭帯の肥厚。脊柱管狭窄症の勉強してたら絶対に聞いますよね??

黄色靭帯について

黄色靭帯って聞いてだいたいどの辺にあるか想像できます?(自信が無い人は下のイラスト見てね)

図1 脊柱水平断(黄色靭帯)

イラストを見ていただけたら分かると思いますが、黄色靭帯は脊柱管の後ろにある靭帯なんです(図1)。
ここが肥厚すると確かに脊柱管を圧迫する原因になる可能性はあるのですが、ここに腰椎の伸展が加わり黄色靭帯が緩むことでさらに脊柱管を圧迫し症状が強くなっていることが多いです。
ちなみに、腰椎伸展位での症状増強を動的狭窄(Dynamic Stenosis)と言います(図2)。
※すべり症等による狭窄も動的狭窄(Dynamic Stenosis)と言います。

図2 腰椎伸展による動的狭窄

画像所見について

脊柱管狭窄症の画像所見についての報告をいくつか紹介させて頂きます。

平均年齢66.3歳・938名に対してMRI検査を実施した報告(Ishimotoら 2013)
・77.9%に中等度以上の狭窄があり、うち有症状者は9.9%
・30.4%に重度の狭窄があり、うち有症状者は17.5%

脊柱管狭窄症34例に対して11年間の追跡調査を実施した報告(Yoshida,Minamideら 2013)
・ほとんどの症例で画像的には狭窄が進行
・60~70%の症例では自覚症状は改善もしくは不変であった

他にも「脊椎の変性所見は年齢とともに無症状の比率が増加する」という報告や「MRI所見と狭窄症の痛み・歩行能力は相関しない」という報告など画像所見と臨床所見が一致しないという報告は多く見らます。

つまり、我々理学療法士は画像所見のみに頼らず、他の所見と合わせて総合的に解釈していく必要があるということです


脊柱管狭窄症の基礎についてまだまだ深堀していく必要があるとは思いますが今回はこの辺で終わらせて頂きます。
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