見出し画像

年を忘れました2023

 忘年会を認めてもうし候。年を忘れる会と書いて忘年会。実際に年を忘れることは出来なかったが、話した内容は全て忘れた。会計もいくら払ったかどうかも全部忘れた。一応、それなりに金は残っているので壊滅的な酒の飲み方はしていないらしい。帰ってからむっさ吐いたけど。お陰で今は胃腸も快活です。カラダにピース。
 何をか話したことを忘れたのは、あまり大事な話をしなかったのであろうと予想がつく。誰かが「みんなで集まって酒を飲んで楽しむ。この感じなんか懐かしい。あ、なんか今いい感じ。ものすごいいい感じ。すごくピースを感じる。レストインピース。LSD。」と言っていたことが記憶にある。多分、これは誰も言っていないだろうし、もし言っていたとしても僕の頭の中で改ざんされたものであろう。だとしても、いい感じの雰囲気で年を忘れることができたので万事快調というところだ。
 記憶というものは容易に改ざんできる。それが楽しかった記憶でも、一刻でも早く忘れてしまいたい悲しかった記憶でも、思い出した途端に神に殺してくれと懇願するような恥ずかしい記憶でもだ。楽しい記憶であれば楽しさを増大させたいがために、右のような誰も言っていない言葉を改ざんさせる。悲しい記憶であれば、自身以外の人間は幸福で自分だけが不条理の世界に住んでいるのかように改ざんさせる。そうやって現実と想像をグチャグチャのペースト状になるまで混ぜ合わせ、脳にぺっとりと貼り付けることで記憶として定着していく。昨日起きたこともそうやって少しずつ改ざんが行われ脳に定着していくでしょう。
 2023年はペースト状になり定着した。年を忘れる会であったはずなのに、年を忘れることはできなかった。むしろなんだかいい感じでピースな年だったなとすら思い始めている、思い出し始めている。今日もまた忘年会という年を忘れる会があるのだが、今日こそは年を忘れることができるのであろうか。はたまた、ペーストの中に放り込まれる一つとして定着していくのであろうか。どちらでもいいか。酒が飲めるなら万々歳。あぁ、今日はきつねうどんが美味い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?