見出し画像

天井のシミ

  久ブルに中途覚醒せずに一睡することができた。精神がぶっ壊れて以来、夜中に目が覚めることは普通になっていたし、一週間のうち5日は悪夢を見続けるという、睡眠の質がおもくそ最悪な生活になっていたのだが、昨晩は途中で目が覚めることなくしかも夢を見ないという最高の睡眠が確保できた。あまりに良い心地であったので、目が覚めた瞬間、夢でないか疑ったくらいである。
  何故睡眠の質が良かったのかは、考えるまでもなく疲弊によるものだろう。昨日は文章を書いたり、提出に四苦八苦したり、送迎に行ったらアホみたいな混雑に巻き込まれ3時間以上の運転を強いられたり、身体の疲れが限界を迎えていたのだ。ありがたいことに最近は仕事の方面でも、ドシドシ業務が舞い込んでくるため、暇をするタイミングが全くと言っていいほど無い。本当は毒にも薬にもならない解説動画とかを見て業務時間を消費させたいのだが、そうもいかないのでたいへんまいっている。仕事をサボタージュすることだけが唯一の取り柄であったはずなのに、真面目に仕事をすることになるとは。
  して、疲弊した本日は虚空を見つめることに徹していた。一歩もベッドから出ることなく天井のシミを数えており、1200まで数えたのち気がついたら日が陰りあたりを闇が包んでいた。朝から飲まず食わずで1200。よくよく考えてみると、天井に1000をも超えるシミがあることはどういうことなのだろうか。雨漏り?虫?こわっ、こんなにも汚い家だっけか此処って。つか、1200で思い出したのだが、かの有名な道元禅師は1200年生まれらしい。その道元が書いた著『正法眼蔵』は、スティーブ・ジョブズも読んだことがあり、いたく感銘を受けた彼は鉄板の中に世界のすべてを押し込むことに成功した。すごいね、道元って。天井のシミを1200は数えていたのだろうか。多分、本日の虚無にて道元に一つ近づいた気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?