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産後ケア事業と産後ドゥーラさんの話

こんにちは、ぺろよしです。
以前の「養育支援訪問事業を受けた話」の続きみたいな感じで、今回は産後ケアと産後ドゥーラさんにお世話になった話を書いていきます。

◆産後ケア事業ってなに?

産後ケア事業は令和元年の「母子保健法」の改正で法定化され、市町村に実施の努力義務となりました。
では事業ガイドラインから内容を細かく見てみましょう。

本ガイドラインにおける「産後ケア事業」については、改正法による改正後の母子保健法(以下「改正母子保健法」という。)第17条の2第2項に基づき、市町村が、分娩施設退院後から一定の期間、病院、診療所、助産所、自治体が設置する場所(保健センター等)又は対象者の居宅において、助産師等の看護職が中心となり、母子に対して、母親の身体的回復と心理的な安定を促進するとともに、母親自身がセルフケア能力を育み、母子の愛着形成を促し、母子とその家族が健やかな育児ができるよう支援することを目的とする。 具体的には、母親の身体的な回復のための支援、授乳の指導及び乳房のケア、母親の話を傾聴する等の心理的支援、新生児及び乳児の状況に応じた具体的な育児指導、家族等の身近な支援者との関係調整、地域で育児をしていく上で必要な社会的資源の紹介等を行う。
また、改正母子保健法第17 条の2第3項に基づき、市町村は、妊娠中から出産後に至る支援を切れ目なく行う観点から、子育て世代包括支援センターその他の関係機関との必要な連絡調整、他の母子保健・児童福祉に関する事業等との連携を図ることにより、母子とその家族に対する支援を一体的に実施する。

産前・産後サポート事業ガイドライン 産後ケア事業ガイドライン (厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/000658063.pdf

上記はガイドラインの一番先頭にある事業目的です。その他の事を含め要約しますとこんな感じ。

・誰向けの事業?
→産後の心身が不調な方、育児不安を抱えている方など支援が必要と認められた人
初産経産問わず、父親や養親・里親も支援する)
・誰がやるの?
市町村の努力義務。支援は助産師、看護師、保健師などが来てくれる
・何をするの?
短期入所(ショートステイ)型、通所(デイサービス)型、委託訪問(アウトリーチ)型に分けられ、お母さんの身体的精神的ケア、授乳沐浴指導など
・申込やお金は?
→本人または家族から申込。利用料は徴収する

◆私が受けた産後ケア

養育支援訪問事業も受けた私ですが、定期的に我が家を訪問してくれていた保健師さんから「産後ケア事業」の話を教わりました。
初めての育児でちんぷんかんぷんだし受けれるならと受けてみようと申込。数日後、市の地域保健課から電話があり、保健師さんが来てくれる事になりました。私の住む自治体では上記のアウトリーチ型の事業があり、家を訪問して育児指導や産後の体調・授乳等の相談を行ってくれるものでした。

当時娘は3ヶ月がそこらだったと思うのですが、とにかくよく泣く子で困り果てていました。プロならこの永遠に続く泣きを止めてくれるのでは!?と甘い期待していたのですが…。

しょーがねーだろ赤ちゃんなんだから(BYポプテピ)

という訳でどうにもならず。うん、そりゃそうだ。
優しい保健師さんではあったのですが、やっぱり母乳メインになるのでしょうか。ミルクの量やあげる時間も色々質問したのですがどうも答えが要領を得ず、沐浴なども慣れた3ヶ月目には教えてもらう事もあまりなく…。一番??だったのはミルクだと言っているのに母乳を勧められた事。ごめんね!母乳速攻やめたからとっくに出ないんだわ!!
結局2回来ていただいて終了となりました。なんか逆に申し訳ないです…。

料金はうちの自治体の場合1回に尽き2時間で2000円。母乳育児で悩まれている方はそれぞれに合わせた授乳方法のアドバイスや、乳房マッサージもしていただけるのでぜひ利用すべきかなと思いました。また、自治体により産後ケア事業の充実度は異なります。東京だと色々充実していて産褥ケア施設を利用出来るとか。もっと幅広いケアを受けられるかもしれないのでぜひ、お住まいの地域の事業を調べてみて下さいね。

◆産後ドゥーラってなに?

次は私が大変お世話になった産後ドゥーラさんについてご紹介します。
近年知名度があがってきた民間資格職なのですがご存じある方いらっしゃいますか?詳しくは以下の公式HPをご覧ください。

一般社団法人ドゥーラ協会

ドゥーラさんは主に産褥期~産後1年半くらいまでのお母さんに寄り添い、色んなお世話をしてくれる方々の事です。特に産褥期のお母さんは本来ならば体を休めないといけない時期なのに、傷も言える間もなく赤ちゃんのお世話をしなければなりません。なのでその負担を軽減し、お母さんが安心して休める様に家事育児やその他お手伝いをしてくれるありがた~い存在がドゥーラさんなのです。
養育支援訪問事業だと家事のみ、保健師さんや助産師さんだと赤ちゃんメインになりますがドゥーラさんのサポートは多岐にわたります。家事はもちろん、赤ちゃんのケアやお母さんのマッサージ、きょうだいの面倒を見てくれたり、その時々の状況で臨機応変に動いてくれて育児や体の相談何でも優しく受け止めてくれるのです。様々なスキルを持っておられて本当に素敵な存在だと思います。
関東ではドゥーラさんは多くいらっしゃって、先ほどの産後ケア事業でもドゥーラサービスを受けられる様ですがその他の地域はまだまだ知名度も人数も少なく、これからどんどん増えていってほしいです。

◆私がお世話になった2人のドゥーラさん

そもそも産後ケアを受けようとおもったきっかけの一つが「娘のとんでもない泣きっぷりをはじめとした育児の悩みを解消したい!」という気持ちからでした。とはいえ、育児の悩みってどれだけ親が頑張っても解決しない部分もありますよね。でもあの時の私はとにかく必死でした。娘が泣くたびに自分がダメ母だと言われてるように感じていて、産んだ親ならプロから教わった育児テクニックを使えば絶対に泣き止ませられるだろうと本気で信じていました。
ベビーカーを押して市内各所の児童館など子育て関連施設に出向き相談する毎日。そんな時検索魔になっていた私は偶然にも産後ドゥーラさんという存在を知る事になったのです。

1人目のドゥーラさんはたまたまベビーシッターマッチングサービスで知り合う事ができました。ほんの2時間だけ娘を預けて自由になりたいが為に家から近いシッターさんを探していたところ、ドゥーラの資格を持っていたシッターさんが見つかるというラッキーぶり。公式HPをご覧になってわかるように残念ながら都心以外のドゥーラさんって本当に少なくて…。
ドキドキしながらサポートを依頼するとコロナ前だったにも関わらず、とても人気で「ドゥーラメインでの利用は時間的に難しいですが、シッターとしての短時間スポット利用ならすぐ来れます。勿論出来る時にドゥーラとしてお手伝いさせて頂きます」との事でした。

まず、利用前に一度自宅に来てくれてどういうサポートをしたらよいか打ち合わせを行いました。事前に写真でお顔を拝見していたのですが、とてもやさしく温かい『お母さん』の雰囲気の方で私もすぐ打ち解ける事が出来ました。打ち合わせの場では「とにかく娘の泣きが辛い」「月に二回、二時間でいいから自分の自由な時間がほしい」「ミルクの量がよくわからない」という事を相談しました。正直わーっと話してしまった挙句、最終的に号泣してしまったのですがドゥーラさんは「今までよく頑張ってこられましたね」と優しく私の話を受け止めてくれました。


最終的にその場で決まったのが
・月二回、二時間の訪問(その間私はランニングに行く)
・不在の間娘をどうするか(外でも室内でも臨機応変に)
・娘の泣きについてはこれから様子をみて一緒に考えましょう
・ミルクの量はもしかしたら足りないかも…要観察

などなど。
そしてその後で「よかったら私のやる沐浴見てみませんか?」となりました。この沐浴が私には目からうろこだったのです…!

①台所のシンクにベビーバス(膨らませるタイプ)をセット
②蛇口から直接お湯を張る
③その間に作業台に畳んだ毛布とバスタオルを重ねておく(ふかふか即席ベッド完成)
④ソープ類、保湿剤の準備
⑤すぐ着せられるように短肌着とコンビ肌着は重ねておく

私の行う沐浴はお風呂場にふくらませるタイプのベビーバスを毎度持って行きかがんだ状態で行い、和室の布団近くにギャン泣き娘を移動させて保湿→着替えの流れだったのですがこれがまた大変。上記のドゥーラさんのやり方なら腰への負担は少なく、娘もさっと着替えが出来ますし、お湯はそのまま栓を抜いてシンクに流してしまえばおしまい。シンクにベビーバスを持ち込むのは人によっては抵抗あるかもしれませんが、私は全くなくてこちらのやり方の方が楽でした。
そして見せてくれた沐浴もとても素晴らしいものでした。「○○ちゃん、おふろあったかくてとっても気持ちいいね~」「ぱしゃぱしゃ好きかな?」と優しく声をたくさんかけながら、でも手早く丁寧に娘を洗っていきます。「お湯につけたガーゼを胸にかけてあげると赤ちゃん安心するんですよ」「ソープはたくさん出してくださいね。泡で優しく洗う感じですよ」「保湿剤はたっぷり塗ってあげてくださいね。こんな感じで手マッサージするみたいに塗ると喜んでくれますよ」と細やかなアドバイス。沐浴は産院や自治体の母親教室で習ったものよりもずっと丁寧で具体的かつ赤ちゃんとの触れ合いも楽しめるものでした。マジ神の御業。いつも無言で(焦ってるかイライラしてるかのどっちか)作業感しかなかった私の沐浴がちょっと恥ずかしくなりました…。

それからドゥーラさんが来てくれる月二回の時間は私には特別なものでした。勿論自由な時間が増えた事もありますが、何よりこちらが言わなくてもさっと動いてくれる臨機応変さや、「赤ちゃんだから仕方ないよ」「母親なんだからしっかりしないと」と周囲に返されて見過ごすしかなかった「辛い」「しんどい」の気持ちをそっとすくいあげて寄り添ってくれるさりげない優しさが何よりも嬉しかったのです。
娘もドゥーラさんに慣れるまで結構時間がかかり私がいないと常時大泣きだったらしいのですが、それでも「○○ちゃん今日は私にニコッてしてくれたんですよ」とか「お外に出て葉っぱをにぎにぎしてたんですよ」と聞くと、育児という残酷マラソン並のどぎついレースにエイド伴走してくれたかのような不思議な安心感を得られました。
「一人で育児しなくていいんだよ。誰かを頼っていいんだよ」というドゥーラさんの温かいサポートが私を励ましてくれたのです。他にも

・冷蔵庫にあるものでさっとご飯を作ってくれた
・ミルクの相談(特にあげる姿勢を事細かにアドバイス頂きました)
・安心するねんね・抱っこ・お世話・声の掛け方のやり方
・ベビーマッサージ
・ベビーサイン
・娘の好きそうなおもちゃや絵本のおすすめ
・もうすぐ始まる離乳食の事
・モンテッソーリ教育について
・乳房ケア

などなどたくさんのアドバイスをいただきました。
どれも育児書や自治体の子育て施設では教えてくれない、なおかつ娘にあった細かいアドバイスで本当に助けられました。「お母さんが心身共に健康であってゆったりとした気持ちで育児が出来るように」というスタンスを常にドゥーラさんが持っていらっしゃるのでこちらも安心です。
乳房ケアについては完ミだからといって放置はあまりよくない(古いおっぱいが溜まっているのでプロに終了ケアしてもらった方がいい)との事でとある施設をご紹介いただきました。産院で受けたトラウマ激痛マッサージ(正直これが嫌で完ミになったと言っても過言ではない)ではなくツボ押しでリラックスできるケアだったので行ってよかったです。詳しくは「すいな法」で調べてみてください。
そんな感じでドゥーラさんには半年ほどお世話になりました。その方はファミサポとしてもご活躍されているので、ドゥーラとしてのサポートが終わっても万が一の時には助けてくれる存在として今も繋がっています。

二人目のドゥーラさんには対面でなく、オンラインでお世話になりました。職場復帰を控え、さあこれから娘もはじめての保育園だ!というところでコロナの感染が増え始め、悩んだ挙句私は自治体の特例措置で育休を延長する事にしました。ただ保育園に行けなくても今後の事を考えると娘の生活リズムを少しでも整えておいた方がいいと思ったのと、離乳食があまり上手に進んでおらず成長具合に不安がありました。一人目のドゥーラさんにもう一度頼ろうか悩んだ矢先に、別のドゥーラさんがオンラインで育児相談サポートをしてくれる事を知り相談を依頼する事を決めました。
Zoomを使ってのオンライン育児相談という事で「どんなものだろう?」と思っていたのですが、やはりそこはさすがプロでした。まず1日の娘の生活スケジュールとミルク・離乳食の量やタイミングを簡単にお伝えしたのですが、そこから様々な方面からアプローチ。しかもアドバイスも押しつけがましくなく私が「ちょっと難しいかも…」としおしおになっていると、さっと「ではこういった方法とかありますよ?」と別の切り口から私や娘が無理なく出来そうな事を提案してくれるのです。娘の様子も私が伝えるだけの情報しかわからないのによくここまで的確にアドバイス出来るなあと歓心しました。
悩みの種であった生活リズムについては、娘専用の30分刻みに詳細に作られた1日のスケジュールを作成して頂いたり(もちろんスケジュールは細かいですが遵守しなくてよい、お母さんが一番楽な様にできる範囲でゆっくり整えていきましょうと言ってくれました)、成長については再度ミルク量やタイミングの見直し、娘が楽しく食べられるような離乳食の進め方を提示してもらいました。
上手くいかなかった時や困った時も何度も対応してもらい、その甲斐あってか7月からスタートした慣らし保育にもすんなりと順応出来ました。

上記の二人のドゥーラさんには大変お世話になりました。
勿論、公的なサービスではないのでお金は多少かかります。依頼する方や地域やオプション内容によって変わりますが、私の場合1時間1500円(交通費別)でした。高いか安いかは人それぞれですが、私はこのお金を払った以上の価値があったと思っています。
自治体の助産師さんや保健師さんにもたくさん相談に乗って頂きましたが、やや「教科書通り」の受け答えを感じる部分がありました。勿論それは正しい答えのひとつでもありますし、助けられた部分も多かったです。でも検診の時に「しんどい」とこぼしたら「あまりに辛いなら精神科を受診されては…」と言われ違う、そうじゃない…でも違わないと思った事もありました。
それに対してドゥーラさんのサポートはその枠を越えていたのです。上手に言えませんが、正の部分も負の部分もぜーんぶありのままに受け止めてくれるというかなんというか…。つい赤ちゃんを優先して見過ごされがちなお母さん自身の事ををとても大切に扱ってくれるのが本当に嬉しかったです。育児に関しても娘のちょっとした仕草を見逃さず、一緒になって考えてくれたのも心強く思いました。

こうして寄り添ってくれるドゥーラさんの存在は私が保育士試験を受けるきっかけのひとつになりました。
今まで出産育児なんて他人事と思っていた私ですが、いつかこのドゥーラの資格を取って誰かの支えになれたらなと、今は漠然とですが考えています。ニーズに対してドゥーラさんの人数が追いついておらず特に地方は登録すらなかったりするので、少しでもなり手が増えて全てのお母さんが利用できればいいですね。

◆まとめ

読み返すと産後ケア事業よりドゥーラさんの記載の方が長くなってしまいました。
自治体での産前産後事業ですが、ぱっと調べたところやはり都心部の方が充実しているようです。シッターやドゥーラ派遣、家事代行、産褥入院など公費負担で利用が出来るようです。すごい。

何度も言いますが産前産後特に産褥期を1人や夫婦だけで乗り切るのはかなり厳しいです。公的サービスや民間サービス、ありとあらゆる手を使ってほしいと思います。お金がかかる事を気にする方もいるし、他人の手を借りる事に抵抗感を持つ方もいるでしょう。でも誰かの手を借りるのは別に悪い事ではないし、一時的にコストがかかってもお母さんの心身の健康と赤ちゃんの成長の方が大切です。限界ギリギリになる前にどうか誰かを頼ってほしいし、「助けてーしんどいよー」って言っていいのです。
そして今度自分が誰かを助けられるようになったら返せばいいのです。保育士やドゥーラの資格を取ってもいいし、席を譲るとか小さい親切でもいいのです。
子育てや出産育児にもっと優しくなれる社会になってほしいと切に願います。

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