比較的本を読まない人たちから比較的本を読む我々への眼差し

通って3年になる美容院では、施術中ずっと持参した本を読んでいる私に、お店の方が読書の話題を振ってくださることがある。

お店の方「本読まない友達に聞かれるんですよ。読みかけの本もう一回開いた時、そこまでの展開覚えてるの? って。覚えてますよねー!」
私「覚えてますよー! 多少間が空いても、何行か読むうちに蘇ってきますよね」
「だから並行して何冊も読めますよね」
「読めます読めます!」

……というような、「比較的本を読まない人たちから比較的本を読む我々への眼差し」みたいな話題がすごく面白い。
今それだけ本読む人少ないんですかねえ、としみじみした感想が出るのもあるあるだ。
髪を乾かしてくれたお店の方は、小さいお子さんにも読書を習慣づけたいと日々選書に励んでいるらしい。「エルマーのぼうけん」大好きなんです、とニコニコ語ってくださった。(未読だなあ、今度読んでみよ、と思って間もなく作者の訃報に接した)

この「比較的本を読まない人たちから比較的本を読む我々への眼差し」の話題、ありませんか。私はある。鉄板を一つご紹介する。
最も印象深かったのは、「休日何してるの?」と聞かれて「カフェとか図書館行ったりとか」と答えたら「図書館で何するの?」って更に聞かれたことだ。耳を疑った。図書館で何するの……!!!!??

図書館で……本読んだり……借りたり……読んだり、借りたり…………返したり……(←絞り出した)
しどろもどろだったが全部本当のことしか言ってない。言ってないですよね???
これぞTHE・宇宙猫って感じだ。

図書館って。
読書という行為に対してあくまで補助的な立ち位置というか、読みたい我々からすると、借りてからが本番(本に向き合う時間)じゃないですか。
その本番に何度でも臨みたい我々のために、豊富な在庫から無料で貸し出してくれる公共施設。助かります! 助かってます!
でも本へのプライオリティが高くない人にとっては、図書館とはいまいち謎な建物かもしれないんだなあ。

その点。残念ながら地元にはないけれど、隣町にはカフェとコンビニを併設した真新しい図書館がある。
カフェなら行ってみっか。コンビニあるなら寄っとくか。そのついでに図書館エリアが目に入れば、きっといいきっかけだよね。
隣町の真新しい図書館はコンビニとカフェのあるエリアのすぐ近くに、雑誌各種の最新号(だと思う)を面陳列で並べていることもあって、これはとてもいい取っ掛かり。

私はみんなもっと本読めばいいのになーってぼんやり思ってるけど、私なんぞよりもっと緊迫に課題意識を持って「読んでもらうにはどうすれば」と考えてる人たちは、読まない人たちの読まない理由、読まない生活を知ろうとしているんだろうなと思う。
読む我々の一員である私も本を読んだり買い支えたりするほかに、読まないけどいずれ読む可能性のある人たちと本をつなぐ架け橋の一端を担えたりしないかなあ。これは考える時があるのでまたいずれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?