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好きなものは覚えられる、いずれ

花や、虫や、鳥の名前をよく知る人に、畏れ敬うような気持ちがある。
私とは明らかに違う目を持っている、という尊敬。同じ二つの目玉でも、世界の捉え方が異なる。
桜、チューリップ、ひまわり。とんぼ、カブトムシ、バッタ。雀、カラス、鳩。なんていうか、私はその程度の解像度だ。

ただ三十路をすぎて時々花を買うようになって、そちらはなるべく書き留めている。
スイートピー。レースフラワー。マドリカリア。先日買い求めて、手帳に残した名前。
ガーベラも、フリージアも好き。これってなんでしたっけ、と見るたび店の方に聞くのはヒペリカム。見るたび聞くほどの関心はある。
好きなものは覚えられる、いずれ。

名前を知り、自然に諳んじるということは、その対象に多少なりとも関心があるからだ、と当然のことを思う。
知りたい、と思ったら、自分から前のめりになること。

数日前、ヒーターを給油しようか迷う、と書いた。あれから気温が下がって下がって、結局灯油を入れた。
なんだかんだゴールデンウィークまでは結構寒いよ、と母が話す。梅雨の頃も結構冷えるし。
一人暮らしをしていた集合住宅と、隙間だらけの実家は暖房事情も違う。離れて暮らしていたブランクがあるので、あーそうだっけ、と遅れて思い出している次第だ。
父はすでに追加の灯油を買い入れていた。桜が咲いても息が白い。

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