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【三猫物語】<その 13> はじめての保護猫「預かりさん」体験!

さて、保護猫ボランティアの会「ねこのしあわせ」が発足、それに相方が参加することになって、WEBページ更新のほかに、まずやってきた役割は、保護猫の預かりである。

ぼくも相方も、猫を飼育するのは「そら」と「ナメコ」がはじめてなので、もちろん保護猫を預かるのもはじめてである。

最初にやってきたのは、白黒とサバ白の2頭、どちらも女の子。子といっても、仔猫ではなく、もう1歳は過ぎているだろう大人。年寄りでもないので、まあ若い部類だろう。

もちろん「そら」や「ナメコ」と同じ空間に同居はさせられない。それぞれにケージが必要だ。「ナメコ」がいたケージが空いていたから、もうひとつを黒田さんのところから借りて、ふたつのケージを設置。

名前がないと不便なので、預かり中はその間だけのネーミングをする。黒白は「こはる」、サバ白は「こゆき」と相方が名付けた。

白黒の「こはる」は、たぶん人に飼われていたのだろう。人間を怖がる様子がなくて、最初からずいぶんと愛想がいい。ケージに手を入れると、自分から近づいてきて頭突きをする。「さあ、触ってちょーだい!」とばかりに身を摺り寄せてくる。喉や腹などを撫でると、すぐにグルグルする。


愛嬌たっぷりの「こはる」


一方「こゆき」は、まったく人慣れはしていない。ケージの上段へ陣取ったら、そこからは微塵も動かない。人間が近づくとイカ耳のまま、眼が三角になる。そっとケージのなかへ手を入れると、「シャー」と威嚇する。

とにかく里親さんを捜さなければならない。毎月一回の、佛川動物病院での譲渡会に出ることはもちろんだが、さきに「ねこのしあわせ」ホームページに掲載して、問い合せを待つことに。

まずは、ホームページに載せる写真を撮らねばならぬ。もちろん猫なので、「こっち向いて~」と言ってカメラを向いてくれるわけではなく、「はい、チーズ!」と言ってニコッと笑ってくれるわけでもない。

とはいえ、幸い「こはる」は、はじめから愛想がいいので、そんなに難渋はしない。ケージの中にいると、あちこち動き回るし、ケージの金網が邪魔になる。なので、外へ出したほうが撮りやすい。べつに逃げる気配も、隅っこへ隠れる様子もない。むしろ、ねえ構ってちょーだいと、すり寄って来る。

問題は、「こゆき」である。とにかくケージの中でじっとしてはいるので、撮影すること自体が難しいわけではない。が、ホームページに載せる写真は、いわば「お見合い写真」である。できるだけ、かわいく、フレンドリーに見えなければならない。

なにもしなくても、人が近づくと固まってしまうのだが、ましてカメラなどを向けられると、俄然、表情に緊張が走る。ケージの中に隠れる場所はないので、イカ耳状態で身体を強張らせ、じっと目がすわってくる。


イカ耳のままの「こゆき」



「う~む、愛嬌がないよねえ」
「うん、目が怖いかも」
「こはるより、美形なんだけどね」
「そうね、分かる人には分かるかな?」
「でも、硬い・・・」
「ま、仕方ない、これでいってみるか」

多くの場合、写真は嘘つきだ。とくに昨今は、デジタル技術の進化で、実物を遥かに超えた画像がカンタンに拵えられる。だが、この時は、まだデジカメは揺籃期。この場合は、そのままが写った、といっていい。

「こはる」と「こゆき」の写真・プロフィールをホームページに掲載して、先に問い合せが入ったのは、やっぱり「こはる」の方だった。


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