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かわいいの未来

今や海外にまで浸透しているという

「かわいい」

人にも物にも実態を持たないものにだって使える便利な言葉。あまりに連発してると語彙力の乏しい人みたいに見えるから、気をつけるようにはしているものの、つい口走ってしまうちょっと恐ろしい言葉でもある。

きっと、「一年間でかわいいを使った日/使わなかった日集計」なんてものがあったなら、確実に使用した日が多いのが目に見えてる。それはもう刷り込みのように、幼い頃から「かわいい」ものが溢れる世の中で「かわいい」を口にする人々を見て育ったのもひとつの要因かもしれない。

そんな万能ワード。使用頻度以外で困っていることがひとつある。それは、かわいいを予測して使いたい時、何と言えばいいのかということ。

「⚪︎⚪︎に⚫︎⚫︎を付けたものがあって」
「それはかわいそ〜」
「...可哀想?」
「あっ、きっとかわいいんだろうなって予測の意味」

実際にあったやりとり。
かわいいだろうな、は会話で使うには少々堅さを感じるし、もっとコンパクトに表現できたらととっさに「〜そう」を付けてみものの、結局伝わらず補足説明しているんじゃまるで意味がない。

「美味しい」や「強い」は「美味しそう、強そう」と言えるのに、「かわいい」は「可哀想」という別の言葉の存在によってちょっと使えませんねと弾かれてしまう。可哀想なかわいい...ひょっとして語源は同じなのかしら。

以来、ベストな言葉を探してはいるものの、結局見つからないまま。「きっとかわいい」もなんかしっくりこないなあ。というか、使いすぎに注意しているくらいなら未来にまでかわいいを使わなくてもいいよなあ。なんて、本末転倒な気もしてきた。いつか、かわいいの未来をシンプルかつ補足なく伝えるためのとっておきの言葉が新しく生まれたりするのだろうか。

かわいいの未来を救う人はどんな人なのだろう。


今回のBGM いつも可愛い/キリンジ

(アウトロのシャウトが好きです。)

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