好物の線引き
笹の葉を一枚ずつめくると現れる鮮やかな橙。目で存分に楽しみ、お次に香りをめいっぱい吸い込んでから呼吸を整え、背筋を伸ばしそっと切り分ける。いざ、口へと運んだら。広がる絶妙な酸味と塩加減...芸術品だとすら思う。
その名もます寿司。
もうね、大好き。
今年まだ食べてない。死ぬまでに竹ずしを食べてみたい。ますのすしミュージアムも行きたい。
昔、TVでます寿司界(?)大手の源の工場が取り上げられてて「うろこ取り機」なるものがパッと映った。ステッカーのようなものが貼ってある。よくよく見ると...
「目からウロ子」
そういうとこも好き。
さて、話は戻って好物ってどこからどこまでをいうの?って素朴な疑問。そこで考えたのが、食べ物にはいくつかのフィルターがあってその中の上位のものだけに与えられる称号が好物ではないかということ。
1. 自分へのご褒美。お金を出してまで選んで食べたいもの
2. 外食、自炊問わず無意識に選んでしまうもの
3. おっ、今日はハンバーグか。ラッキー!みたいに思えるもの
4. 好きとか嫌いとかではなく、栄養や彩りで必要と感じて食べるもの
5. 食べられるけどわざわざ選んで食べる気はしないもの
6. 1000円貰えるならがんばって食べるもの
7. いくら積まれても無理!口に入れるのもおぞましいもの
ざっくり分けてこんな感じかなあ。
特にお金が絡んでくる6〜7の間はいくらでも細かく区切れると思うけど、そんな時点で好物ではないのは明らかだし、そもそもそも誰がその金くれるんだって話。果たして好物と呼べるラインはどこからか。
私が受験生だった時のこと。通っていた画塾で好きな食べ物をモチーフに平面構成せよという課題が出た。別にとりわけ好きってほどでもなかったたい焼きが思い浮かんでこれモチーフにしよ!と勝手に好きな食べ物として認定してしまった。それでも、モチーフ観察として実際に買って食べたり、いろんなお店のたい焼きのフォルムを調べたりしていくうちに課題が終わった後もなんとなく目に付く存在に。出会うたびに買っては食べを繰り返していった結果いつの間にか本当に好きな食べ物になっていった...
これは恋か。いや下克上か。
なんてこっ鯛。
3〜4、ここに該当する食べ物がたぶん一番多い。考え直したら結構好きだったわってものからやっぱり好物とまでは言い切れないわってものがひしめき合っているこのエリアが曲者かも。ましてや2に属する食べ物だって、ついつい選んじゃうけどハズレがなさそうだからって理由で好物かと問われれば実はそうでもなかったなんてのが隠れているかもしれない。かと思えば先のたい焼きのように、きっかけ次第で
3か5あたりを彷徨っていたものが突如好物エリアに躍り出てくる事例も。その時の気分や体調にも左右されれば、歳を重ねた結果によって変動するものもあるし…
ここまで引っ張っといて何ですが。ようは一概に
「ここから先、好物」
などと線引きすることなどできないということです。そもそも区切る必要に迫られることなどないじゃないか。
ああ、また。素朴な疑問が頭の中で広がりすぎてしまっただけ。
余談ですが、ます寿司と僅差で好きなものがありまして。ハンドルネームもここからとりました。
その名もたたみいわし
幼い頃初めて食べた時の衝撃たるや。軽ーく炙ってぱくっと咥えたらもうたまらん。渋いねぇ〜と言われたこと山の如し。若い人なんて知らなかったりもする。あんなに素晴らしいものを!でも、ぺらぺらで儚い割に高いので自分では絶対に買わない。おごりで食べるからこそ美味しいのかしら。
たい焼きは気軽に買える。たたみいわし一枚でたい焼き2,3個買えるなんて笑っちゃう。でも、たたみいわしの方がます寿司と僅差なのでたい焼きより上。
ほら、順位なんてあってないようなもの。
踊るように入れ替わってるだけ。
今回のBGM 踊ろよ、フィッシュ/山下達郎
(およげ!たいやきくんと迷った。踊るか泳ぐか。)
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