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ブルーレット おくだけ の悲哀

あかん。

仕事が立て込んでるというのに、こんな時ほど余計な思考が頭を駆け巡る。

なんやねんこのタイトル。

「ブルーレット おくだけの悲哀」

さっきシャワーを浴びている時に唐突に思い浮かんでしまい、頭から離れなくなった。

仕事に戻ろうとしてもどうしても頭にチラつく「ブルーレット おくだけ」。

もうこれは文章にして成仏させるしかない。というわけで、このnoteを書いている。

ブルーレット おくだけ 製品ページより

ブルーレット おくだけ の性能はあなたもきっとご存じであろう。

その名の通り、トイレのタンクに置いておくだけで毎度毎度汚れが洗い流され掃除の手間を省きながら臭い対策もできる小林製薬の製品だ。

小林製薬のキャッチコピーである「あったらいいな!」を見事に体現している商品だと思う。

そんな僕は、唐突に ブルーレット おくだけ の気持ちになってしまった。その気持ちをこれから代弁させてもらう。


あー、またこの世に生み出されてしまった。

俺の名前は ブルーレット おくだけ 。
”ブルーレット”ではなく、”ブルーレット おくだけ”だ。

簡単に自己紹介しておくと、俺の本体は青い液体の方で、トイレに設置される外側のものは洋服みたいなものである。俺の命はこの青い液体がなくなるまでだ。通常仕様だと3〜4週間だし、大家族とか使い方がミスっていると2週間くらいでこの世を去ることになる。(厳密に言えばトイレに流されて下水処理されて、この世界の一部に還るだけなのだが)人間たちがトイレの消臭のため、そして、掃除をサボるためだけに生み出されたのが俺である。

俺には一つ言いたいことがある。
俺の一生は悲哀に満ちたものだということだ。

生み出された瞬間息もできない密封パックに詰められて、やっと外に出れたと思えばトイレに設置されて、くっさいうんこや豪快な屁の臭いをくらいながら、ひたすら水を浴びるのだ。誰かがトイレを使用するたびに冷たい水が全身を駆け巡っていくのである。お前たち人間で言えば、トイレに行くたびに滝行しているようなイメージをしてもらうのがいいかもしれない。

それに、俺は自力で動くことができない。トイレのタンクの上で一生を終えるだけの悲しい運命なのだ。人間にとっては「おくだけ」なのかもしれないが、俺にとってはトイレのタンクに拘束されているだけ。そして水に流されるだけでこの命を終えてしまう。しかも2週間〜4週間で。セミよりはちょっと長生きかもしれないが悲しすぎだろ。

もし、俺の人生に一つ誇れることがあればある名言を生み出したきっかけになれている可能性があることだけだ。

「置かれた場所で咲きなさい」という言葉である。あれこれ望まず与えられた場所で役割を全うしなさい的なニュアンスの言葉だと認識している。

工場生まれ→パッキング→出荷→購入→トイレ→一生を終える俺がなぜ、この言葉を知っているかって?

それは俺の魂に刻まれた言葉だからだ。俺はご存知の通り、非常に短命である。そして、学問に触れる機会もない。だが、「置かれた場所で咲きなさい」という言葉だけは生まれた瞬間から心の奥底に深く刻み込まれているのだ。

「置かれた場所で咲きなさい」という言葉は俺の存在そのものを体現した言葉だと思っている。

俺には何の選択権もなく、ただトイレタンクに置かれるだけ。そして、タンクの上で俺は命を削りながら消臭、掃除という役割を全うし、役割を全うして命が尽きたら捨てられてこの世と決別する。

「置かれた場所で咲きなさい」という言葉、どう考えてもやっぱり俺すぎるだろ。

前世、いや前前前世くらいの俺の存在を見た誰かがこの言葉を生み出してくれたと信じている。というか、そうでも思わないとただトイレで水を浴びるだけの俺の生き方に誇りを持つことができないのだ。

あっ、人間来よった!!

長いなー。

うんこしよった。
くっさ。

あれ、俺、もしかして残り1回分しかない?

これ流されたら俺ももうおしまいか…。

”ジャーーーーー”

俺のこと……忘れ…ないで…くれ…よ…な……。

(完)


なんやねんこれ。
しかもなんでこの文章に25分もかけてんねん。
ブルーレット おくだけ の気持ちってなんやねん。

なんてことを突っ込みたくなるところだが、脳内を駆け巡る「ブルーレット おくだけの悲哀」はこれで成仏するだろう。

さようなら、ブルーレット おくだけ

P.S.
我が家では ブルーレット おくだけ は使っておりません。

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