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モネとゴッホを訪ねて、パリ郊外へ

原田マハさんの小説を機に、印象派絵画に興味を持った私。なかでも、モネとゴッホは印象派画家の2大スターであり、二人が描いた作品は世界中の人を魅了しています。そんな二人のゆかりの地を訪れたく、2024年4月にパリから日帰りで、ジヴェルニーとオーベル・シュル・オワーズの2都市を巡りました。

ジヴェルニーとオーベル・シュル・オワーズ

ジヴェルニーは、パリから約70㎞離れたノルマンディー地域圏にあり、クロード・モネが晩年を過ごした土地です。ジヴェルニーには、「モネの家と庭園」をはじめ、「ジヴェルニー印象派美術館」や「ジヴェルニー教会」などモネにゆかりのあるスポットが点在しています。日本のツアー客を含めて多くの団体客が訪れる人気の観光地です。実際に私が訪れたときも、多くの人でにぎわっていました。

モネの家と庭園の園内MAP

一方、オーベル・シュル・オワーズは、パリから約30㎞離れたイル・ド・フランス地域圏にあり、フィンセント・ファン・ゴッホが最期を迎えた土地です。「村役場」や「オーヴェル教会」、「麦畑」などゴッホの作品のモデルとなった場所が多くあります。オーベル・シュル・オワーズでは、私が訪れたタイミングが良かったのか、観光客はチラホラ見かける程度でした。

ゴッホが描いたオーベル・シュル・オワーズの風景

どちらもパリから近く、フランスに行ったら絶対に訪れたい!と思い、出国前にネットで調べていましたが、意外にも2つの街を巡るツアーは見つからず。しかも、ジヴェルニー⇔オーベル・シュル・オワーズ間は、列車の乗り換えが大変で何時間もかかるそう。(高速バスなども探してみましたが、見つかりませんでした。)

フランスでの滞在が短かったため、どうしても日帰りで行きたかった私は、ジヴェルニーからオーベル・シュル・オワーズまでをタクシーで移動することにしました。

ジヴェルニーへの行き方(列車+バス)

モネも描いたサン=ラザール駅

パリからジヴェルニーへは、列車とバスを使って行くことができます。まずは、サン=ラザール駅からヴェルノン駅まで列車で移動します(所要時間53分)。ちなみに私は、前日にsncf connectのサイトからチケットを購入しました。2等クラス(=日本でいう自由席切符)で片道17.2€。(2024年4月16日購入時)

ヴェルノン駅に着き、小さな駅舎を抜けるとバスターミナルがあります。バスターミナルには、ジヴェルニー行きのプチトラン(汽車型の観光バス)が停まっていますが、乗車料金は割高(確か片道8€だったような…)だったので、通常のシャトルバス(片道5€)に乗ることに。線路沿いに約100m歩くと、車体に『VERNON>GIVERNY shuttle』と書かれたバスが停まっています。

ヴェルノンやジヴェルニーの観光スポットがラッピングされたシャトルバス

シャトルバスは、パリからの列車に合わせて運行しているため、乗り換えに困ることはありません。車内には、時刻表付の簡単な観光MAPが置いてあるので、もらっておくと便利です。約15分でジヴェルニーの駐車場まで行くことができます。

絵本のなかの世界が広がる「モネの家と庭園」

緑のアーチが素敵なモネの庭

ジヴェルニーの駐車場から歩くこと約10分。ついに、モネが晩年過ごした家に到着しました。エントランスとスーベニアショップを抜けると、そこはまさに絵本のなかの世界!

気持ちよさそうにそよめく緑の木々と、彩り鮮やかな花々に迎えられ、晴れやかな気分で庭園散策が楽しめます。サクラや藤の花、ツツジなど、日本になじみのある花々も多く咲き、モネがどれだけ日本に憧れていたのかがよくわかります。

フランスの地でもきれいに咲き誇る八重桜
小学校の帰り道を思い出せるツツジ(笑)
パイナップルのような形をした珍しい花

道路を隔てた庭園には、モネが描いた『睡蓮』でおなじみの池があり、「Le Pont Japonais(日本橋)」と呼ばれる太鼓橋が架かっています。

日本庭園のような景観
1902年につくられた「Le Pont Japonais(日本橋)」

そして、この自然に囲まれた景色にピッタリの緑の窓枠の建物が「モネの家」です。家じゅうに飾られた浮世絵や絵画をはじめ、実際にモネが使用していた調度品などが展示されています。家族や友人に囲まれながら最後まで絵を描き続けたモネの姿が想像できる素敵な空間でした。

モネが1883年から1926年まで過ごした家
どの窓からも美しい庭園が眺められる造り
モネは日本猫を飼っていたそう
いたるところに浮世絵が飾られています

ジヴェルニーからオーベル・シュル・オワーズまではタクシーアプリ「Bolt」を利用

「モネの家と庭園」を満喫した後は、ヴェルノンに戻って昼食をとることに。(フランス語しか通じないレストランもあるので、要注意。)次は、いよいよゴッホが過ごしたオーベル・シュル・オワーズへと向かいます。

ここで利用したのがタクシー配車アプリの「Bolt」です。東南アジアでよく使われている「Grab」と同様に、目的地を入力すると料金が表示され、近くにいる登録ドライバーが迎えに来てくれます。

乗車後のメールで、移動した時間やドライバーの名前が表示されます

オーベル・シュル・オワーズまでは約60㎞(所要時間約1時間)も離れているため、なかなか捕まらないかと少し心配していましたが、意外にもすぐにドライバーを発見。しかも目の前に現れたのは、テスラのスポーツカー!

降車時にドライバーに撮影許可をもらってパシャリ!

ドライバーはフランス語しか話せなかったため、いろいろ聞くことはできませんでしたが、勝手にリッチな気分に浸りながら道中を楽しんでいました♪(料金は、Boltの初回利用特典で7€が割り引きされて、78.4€でした)

アプリ内で料金が明示されているので安心です

ゴッホの足跡をたどってオーベル・シュル・オワーズ散策

まずは観光案内所に行って、オーベル・シュル・オワーズの観光MAPをゲット。パリで次の予定があったため、ゴッホのお墓参りを再優先に、街を散策しました。

観光案内所前にはゴッホの像があります

観光案内所から少し坂を上ること十数分、共同墓地が見えてきます。ゴッホのお墓は、墓地の奥の方。壁沿いに2つの墓石が並んでいます。隣のお墓は、ゴッホの最大の理解者でもあった弟・テオ(フルネームはテオドルス・ファン・ゴッホ)のお墓です。

生前はテオ以外の誰からも評価されなかったゴッホ。それでも、絵を描くことに情熱を燃やし、数々の名作を世に残しました。どれだけ孤立しても自分の信念を貫き通したゴッホに敬意を表し、今ゴッホの作品を見られることに感謝の意を込めて、合掌。

私が訪れたとき、ゴッホのお墓(左)にはひまわりが献花されていました

お墓参りを終え、共同墓地から歩いて約5分の麦畑へ。この麦畑は、ゴッホが自殺を図った場所です。もの悲しい気持ちになりながら歩いていると、それまで降っていた雨が止みました。少しゴッホと会話できた気がした瞬間でした。

ゴッホは、この麦畑を眺めて『カラスのいる麦畑』を描いたのかも

最後に、オーベル・シュル・オワーズでゴッホが過ごしていた「ラヴー亭」の屋根裏部屋を見学(ガイド付き)して、パリへ戻ることに。ちなみにパリへ戻る際も「Bolt」を利用しました(所要時間約50分、料金29.4€)。

現在もレストランとして営業している「ラヴー亭」
屋根裏部屋の見学はガイド要・撮影NGでした。写真左が実際の部屋の様子です

旅の想い出

モネがつくった理想郷は、訪れたすべての人を温かく迎え入れてくれる太陽のような場所であり、ゴッホが最期を過ごした屋根裏部屋は、誰一人寄せ付けない陰のような場所でした。

ジヴェルニーとオーベル・シュル・オワーズは、まさに二人の人生を象徴したような雰囲気が味わえます。ぜひ、同時に訪れてみてください。

お土産屋さんやカフェなど観光客向けのショップが建ち並ぶジヴェルニー
住宅が中心で静かな雰囲気のオーベル・シュル・オワーズ


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