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最強の日本酒「剣菱」を語ってみる。

おでんをつくる。
ほんだしと酒と醤油とみりんのみ。超簡単。おそらく3日間は生存できる量だ。

おでんを食べるなら当然日本酒を飲まねばならない。しかし、ここは今流行の日本酒を選んではいけない。獺祭とか紀土とか仙禽も確かに美味しい。もちろんおでんにも合うだろう。でもここはあえて剣菱なのだ。しかも階級も高級な純米酒ではなく、アルコール添加のチープな本醸造。

900mlの大容量なのに千円ちょっとで買える。しかも酒屋ではなく近所のスーパーで買える、超お気軽に呑める日本酒。侮るなかれ。このお酒がめちゃくちゃ美味しいのだ。甘み旨み辛みのバランスがよく、後味が短い。和食の食中酒としては、もしかして日本一と言っていいくらい欠点がない。どうしてこの値段で売れるのか、本当不思議。

チープではあるが、長期保存も可能。僕はいつも冷蔵庫に入れず、日当たりの悪い押入れに放り込んでおく。驚くことに、半年以上ほったらかしにしても味がへたらない。むしろ若干熟成することで、味が甘くまろやかになるのだ。恐るべき灘の銘酒クオリティ。

歴史は江戸時代に遡る。驚くことに、当時の醸造ポリシーを400年以上経過した今もキープしている。自然の乳酸菌を取り込んだ山廃酒母、広告を打たずに全て品質に還元する経営スタイル、冷酒ではなく常温・燗酒で映える江戸の作法。すべてが、いい意味で頑固というか古臭いというかw 

しかし、この剣菱を呑むことで、現代人は江戸の食文化を体感できる。江戸っ子はこれに鰻や寿司を楽しんでいた。ちなみに土佐の山内容堂は江戸の藩邸で、日夜剣菱を呑んでいたという。勝海舟が容堂に剣菱でつぶされた逸話も残っている。

熟成させようかしら。2年常温熟成させたら、ウイスキーみたいな色になるかもしれん。でも呑みきってしまいそうだけどね。ふふふ。

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