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スポーツ科学研究「恵比寿の巻」

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Sport X Management Lab.がまとめるスポーツ科学関連の学術論文まとめ(百本セット)。
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2020年8月の記事一覧

進化スポーツ心理学①

本日は進化心理学の視点からスポーツ心理学、エクササイズ心理学を切っていきたいと思います。 進化心理学において、進化は、自然選択が今の人類の心と身体の作りを形成したという考えの基に成り立っている つまり、私たちの体は何億年もの地球の歴史の中で、生存し続け、子孫を残し続けるために、最適な身体の特徴と、心理メカニズムを形成してきたということです。 また、進化心理学では、心を以下のように捉えています。 心とは、すべての意識、無意識に反応し行動を形づくる情報処理の装置である。

女性アスリートはメディアにどのように扱われたいのか問題(アメリカの女子学生アスリートデータなのでご注意)

日本ではあんまりメディアの女性アスリートの扱い方が問題視されることが、そこまで多くないような気はするんですが、多様性とかジェンダーとかがより活発に議論されるアメリカではこの手のトピックは特にちゅーもくを集めてまっす! 簡単にバックグラウンドを紹介すると、「タイトルナイン」という1972年に作られたアメリカの法律があるんですが、それによると「男女差別しないで、様々な機会を男にも女にも同じくらい提供しろよ!」ということが決められたわけです。 この法律ができてから、かれこれ50

「スポーツファンの絆」には原始的な理由があった?

人の感情、考え方や行動。 皆さんは、どのように決まると思いますか? 育った環境や、周りの友人、学んだ大学など様々な要因を挙げると思います。 それでは、、、 あなたの感情や考え方や行動は、ヒトという生物として、既におおかた決まっていると言われたらどうでしょう? なんのことやら?と感じる人もいれば、そんなアホなと感じる人もいるかと思います。 簡単に言ってしまえばヒトも動物のように(動物であって)本能に従って行動するということです。

スポーツイベントでの満足感が人生の満足感を高めるに大切かもという話

近年、たくさんの人が参加するスポーツイベントが注目を浴びています。 例えば、2019年に開催された東京マラソンは約4万人の参加者を集めるという大規模なスポーツイベント(マススポーツイベント)であり、経済効果や運動習慣の推進という意味でも非常に重要な社会的価値を持ったイベントです。 また、スポーツが人々の健康や幸せに大きく影響するということから、東京マラソンのような大規模なスポーツイベントは、住民・国民に対する重要なスポーツ参加の機会として非常に重要な役割をしています!

ある親の行動が、子どもがスポーツを通してハッピーに生きるために大切という話

人がハッピーに生活を送っていくためのスキル(スキル = トレーニングで高めることができる)を"ライフスキル"といいます。 ライフスキルには、チームワーク(協力)、的確な目標の設定、タイムマネジメント(時間の使い方・管理)、感情のコントロール、コミュニケーション、社会性(人との関わり)、リーダシップ、問題解決能力が含まれます。 しかも、スポーツはそのライフスキルを高めるためにとても効果的というのが過去の研究ではすでにわかっています。 更にスポーツでの楽しみは、子どもの心の

カラダが小さい子は、大きい子にマジで負けてしまうのか問題

子どもたちのカラダの成長は非常に早いわけで、一年もあれば別人と思われるほど大きく成長します。 自分の子どもが3月生まれだと想像してみてください。 同学年の佐藤さんの子どもは4月生まれです。 佐藤さんの子どもの方が、約1年も先に産まれているわけで、カラダの成長は全くと言って良いほど違うわけです。 早生まれじゃない子どもたちは、カラダが大きいので(おそらく)優遇を受けて スポーツで活躍できたり、活躍の機会をたくさん与えられるというエビデンスは過去の記事でも紹介しました。

時差ボケについて調べた件

アスリートたちにとってコンディショニングは超大事なんですが、世界を股にかけて戦うアスリートは、、、 飛行機に乗って戦いに行くのであります!! つまり時差ボケを想定して、コンディショニングする必要があるんですねー。 実際米国とかは結構横に長いので、国内でも時差ボケになってパフォーマンスに悪影響が出る可能性もあります。

学生アスリートの睡眠の質ー「朝は寝とけ」の巻

最高のパフォーマンスを発揮するには心身ともに準備ができている必要があるのは皆さんも承知のことだと思います。 そこにはやっぱ 「睡眠」がマジで影響してるって言われてます。 でも実際のところ睡眠時間が足りていないっていうアスリートが多いことが、多くの調査で分かっているんですよね。 まぁ色々理由があると思いますが、私たちが学生の頃なんて、朝練もやって授業も受けて、授業終わったら夜まで練習、そして土日は二部練。そら眠くなりますわ!

苦しい状況を成長の機会に変える方法!〜ケガをしたアスリートに注目〜

スポーツをやっている人が頻繁に悩まされるものといえば 「ケガ」ケガが原因で競技者としてスポーツをすること諦めたという人も少なくないのではないでしょうか? 私も実はその1人で、ケガは本当に私の人生に大きなインパクトを与えました! 近年、スポーツ心理学の世界で「ケガによる成長(Sport Injury-Related Growth)」というテーマでの研究が増えてきており、ケガによる成長に関する理論の構築がされるまでになってきています。 その理論によると、「ケガをして逆境に

スポーツイベントで盛り上がった「街の雰囲気」こそが幸せの源なんだよっていう研究

スポーツイベントがもたらす街への好影響は色々ありますが「住民の幸福感」を高める効果が近年注目されています。 従来は、スポーツイベントの経済効果にばかり興味が向いていた訳ですが、どうやら一過性の経済効果だけでは限界がありますよねと様々な国々の街が気づいたようです。 結局最終的には「経済効果」なんだけどとは言うものの、 スポーツイベントを誘致する街の最終的な興味が「経済効果」であることに変わりはありません。 じゃあ、どうして住民の幸福感に着目するの?って言う話ですが 住民

スポーツがもっと楽しくなるマインドセットのお話!

皆さんは才能は生まれ持ったもので変えることのできないものだと思いますか? それとも、才能は、努力によってなんとでもできるものだと思いますか? もし、自分の上司やコーチなどに「君には才能がない」と言われても皆さんは頑張り続けることができるでしょうか? 今日はコーチと選手の才能をどう捉えるかというマインドセット(心持ち)が選手のモチベーションやポジティブ感情にどう影響するかというお話です。 才能をどう捉えるかという心持ちモチベーションの理論において、マインドセット(心持ち

せっかくのサポートが逆効果になるとき?

人のパフォーマンスや心理面に大きな影響を与えるモノのひとつとして、環境的要因というものがあります。 環境的要因とはどういうモノかというと、「チーム・組織の方針」、「チーム・組織の文化」、「リーダー(コーチ・上司)の支援スタイル(支配的・民主的など)」などが挙げられます。 そこで今日は、これらの環境的要因の中での支援・サポートに注目した研究を紹介します。 過去の研究から、「必要なときに必要なサポートを受けられる」という感覚は、様々な重要な心理的要素(自信、モチベーション、

アスリートの凶暴性は顔の幅と高さの比率からホントに予測できるのか Part.2

「顔の幅と高さの比率」は(これをfWHRと呼びます)胎児期に曝露したテストステロン量と関係があると言われています。 この比率が大きい人、つまり、幅広でギュッと長さが縮んだ感じの顔の人はテストステロンが高い可能性があることは以前の記事でも紹介しましたねー

伝説のコーチは現場で実際にどんな行動を取るのか?

皆さんは、パット・サミットという”伝説のコーチ”をご存じでしょうか? アメリカはNCAA一部リーグで活躍する名門テネシー大学女子バスケットボール部の元ヘッドコーチです。 59歳という若さで若年性アルツハイマーを患い、コーチとしてのキャリアを退くまでに8回の全米チャンピオンに輝き、積み重ねた勝利数1098勝は2020年8月現在、NCAA1部女子バスケット史において最も最高勝利数を誇ります。 また、その勝率は、なんと「.841」という凄まじい数字。 そんな伝説的なコーチの