【SXLP7期 DAY8&9 レポート】 目的と機能と物理&機能抽出
みなさん、こんにちは!SXIコミュニケーションチームです。6月末から始まったSports X Leaders Program(以下SXLP)7期DAY8&DAY9のレポートをお届けします。
Phase1では、SXLPのコアである「システムデザイン思考(システムズエンジニアリング&デザイン思考)」を体得し、物事を多視点で捉えていきます。3-4日に1講義のハイペースで進み、毎回新たな概念を頭にも身体にも染み込ませていきます。新しい概念を学ぶPhase1もいよいよ佳境を迎えています。
■本講義のテーマ
ソリューションアーキテクチャー(機能分析)
■Day8 講義内容
目的と機能と物理
前回、DAY6&7ではプロトタイピングについて学び、実際にフィールドワークも行い、これまでの理論を実践したことで新しいインサイトを得たり、IPSの磨き込みを行いました。
DAY8では、設定したIPSを実際にソリューションを構築する(ソーリューションアーキテクチャ)ために必要な考え方を学び、DAY9において、グループワークで自身への落とし込みを行いました。
機能と物理については、毎期、まずはこの質問から始まります。
これは「パクパク皿キャッチ」という商品ですが、これをシステムとして機能と物理に分けて考えると、以下の整理をすることができます。
このように、やりたいことを達成するための機能は何か、またその機能を実現するための物理はどのようにすべきか、を分けて考えることが重要です。目に見えている物理だけで考えるのではなく、本質的に提供したい機能にも目を向けることで、例えば以下のように、違う物理を思い浮かべることもできるかもしれません。
目的に対して機能と物理を分けて考えるためには「目的に立ち返り、システムの全体を俯瞰しながら、自由度高く柔軟に考えていく」ことが大切なのですが、最初は難しいかもしれません。
その手助けをしてくれるツール(分析手法)についても講義で学びました。
①ライフサイクル分析
「ライフサイクル」とは、あらゆる物事(システム)が持つ、「はじめから終わりまでの一つのサイクル」を指します。また、一つのライフサイクルには、複数のフェーズやステージがあります。例えば、人の一生なら、赤ちゃんフェーズ、こどもフェーズ、少年・少女フェーズ、青年フェーズ、壮年フェーズ、熟年フェーズ、老年フェーズのような7つのフェーズで構成されるサイクルが考えられると思います。
このように、ライフサイクルを書き出しインサイトを得るのがライフサイクル分析です。ここでは、始まりと終わりを設定すること、そしてフェーズの変わり目で何かが起こるのかを考えることが大切です。
②コンテキスト分析
コンテキスト分析は、分析対象の外部環境がどんな関係性であるかを考えるとともに、全体を俯瞰して捉え、相互作用のある要素を抽出する分析方法です。
例えば、以下のように芝刈りシステムを中心に考えると、それに対して影響をあたえているものは何か、そしてその影響内容を書き出し、その中で特に重要なコンテキストが何かを俯瞰して考えます。この例だと、実際に刈る対象である「芝」はもちろん、衝突する「土」があるので障害にならないような物理にする必要があるよね、などのインサイトを得ることができます。
③ジャーニーマップ分析
これは一番馴染みがある分析手法かもしれません。ライフサイクル分析にも似ていますが、ユーザーの経験・体験により特化した分析手法です。
下記の例では、携帯料金プラン変更のジャーニーマップですが、各フェーズごとの気持ちの変化や具体的な疑問点などを書き出していくことで、考案しているシステムの中でカバーする必要がある重要機能の抽出に役立てることができます。
■Day9 グループワーク
Day8の3日後に、Day9が行われ、Day8でインプットした内容を踏まえて、グループワークを行いました。
まず、前回のおさらいをした上でライフサイクル分析、コンテクスト分析、ジャーニーマップ分析のワークの3つのワークを通しで行いました。今回はそれぞれのチームでソリューションを置いた上でのワークとなり、ソリューションの課題・問題点を改めて認識することができ、改めてこれまでのフレームワークに立ち戻るイテレーション(Day4レポート参照)の重要度を改めて認識したメンバーが多かったかなと感じました。
■Day9 講義内容
機能抽出
そして、各チームの振り返り後の残りの時間を活用し、機能抽出の説明とワークにも取り組みました!
それぞれ上記のフレームワークはソリューションにおける実現に必要な機能を洗い出すためのワークとなっています。
コンテクスト分析から機能の洗い出し
・コンテクスト分析では中心に対象物を置いてその周りのコンテクストを抽出したと思いますが、その図からシステムの機能を洗い出す形となります。
まずは、コンテクストの全体図から自分たちのソリューションの網羅範囲を設定します。
下記の例では、黄色の点線内のみに注目しています。
次に、黄色の線の範囲と範囲外におけるコンテクストに注目することでそれぞれの矢印における機能が見えてくるというわけです。
※コンテクストにおける機能の抽出は範囲内同士の矢印を含めて全て行いますが、範囲内と範囲外においてはソリューション時の肝になる為、最優先で機能抽出をする必要があります。
ジャーニーマップ分析から機能の洗い出し
・ジャーニーマップ分析では、ジャーニーマップ全体からジャーニーを成り立たせるための機能、振る舞いを洗い出す形で実施いたします。それぞれのフェーズに合わせて、必要な機能については、ジャーニーマップ分析のワークでもある程度見えている部分ですが、改めて抽出します。
FFBD(Function Flow Block Diagram)
また機能の抽出を行なった上で実施するのが機能設計となります。
機能には、要求機能と設計機能という2つに分けることが可能です。
要求機能は必要であると認識された抽象度の高い機能で、要求機能を具体化させたものが設計機能となります。
要求機能と設計機能を、フロー図に落とし込むことでどんな形でソリューションが成り立つのかを確認することが狙いです。
最後に、残った時間を利用してコンテクスト分析の機能の洗い出しのグループワークを行い、DAY9は終了となりました。
■受講生の声
Day8終了後(菅原さん)
今回はシステムデザインについての講義。その本質と方法論について学びました。
特に印象に残ったのは、システムデザインを理解する上での「目的」「機能」「物理」の関係性。これらの概念を具体例と共に学ぶことで、システムデザインの全体像がより明確になりました。
またシステムデザインを構造化する3つの手法についても学習。①ライフサイクル分析、②コンテクスト分析、③ジャーニーマップ(ユースケース分析)です。
なかでも、コンテクスト分析はぼくが講義前に抱いていた"デザイン"の概念にとても近く、その出会いと奥深さに感動。
が、、、この概念や手法を具体的な課題に適用しようとすると、まだまだ頭が混乱。特に複雑なシステムに対してどのように効果的に適用するか、が苦戦しそうです。
次回のワークを通じて、深く理解できることを天に祈りつつ、自分のプロジェクトにも積極的に適用し、実践的なスキルを磨いていきたいです。
Day9終了後(立木正之さん)
あっという間にPhase1もDay9となり、時が経つのは早いなあとしみじみ感じています。
今回はDay8で学んだ「ライフサイクル分析」「コンテクスト分析」「ジャーニーマップ分析」についてのグループワークがメインでした。
講義で頭では理解したつもりでも、実際の課題に当てはめてワークしてみると、なかなか自分の頭の中でフィットしないので、改めてデザイン思考は難しいし面白いなあと実感しています。
ライフサイクル分析とジャーニー分析では、主語を何にするのか、最後は何にするのかという事を決めて進める事が重要である事を認識できましたし、
またコンテクスト分析では、関連する事柄を出していった際には人が多く出てきましたが、そこから全体を俯瞰で見ることも勉強になりました。
本日最後のグループワークでは、コンテクスト分析から要求機能を洗い出すワークで、なかなかチームメンバーでのディスカッションの歯車が合わず、その理由が各々の考えているフェーズが違う事がわかったので、これも良いディスカッションだったなあと思います。
Day9が終わり、まだ相変わらずモヤモヤしながら、そして手探りで頭を働かせてなんとか学んだ事を消化させようともがいています笑
Phase1も残りあと1回。
引き続き、楽しんでいこうと思っています。
■最後に
Solution Architectureは、積み上げてきたインサイトを踏まえてSolutionを構築するフェーズです。筆者自身、機能と物理という考え方を理解するのに時間はかかりましたが、俯瞰して考えて切り分けて考えることができるようになったことで、世界が変わった記憶があります。また、Phase 4のソリューションの構築において、ジャーニーマップをやったことで一気に全体像が固まった経験があるので、「システムの具体化」に強力な考え方・分析手法だと思っています。受講者たちもワークを実施しながら、システムデザインの全体像をぼんやり把握し始めたところだと思います。
次回7/31(水)は、Phase1最終日となります。DAY9での機能抽出のワークを実践しながら機能設計を行なっていく予定です。次回レポートもお楽しみに!
■Sports X Leaders Program
「システムデザイン思考(システムズエンジニアリング&デザイン思考)」をコアに据え、物事を多視点から捉え、自らが直面する課題や取り組んでいるプロジェクトに当事者意識をもち主体的にアクションを起こせるリーダーを育成するプログラムです。
■Sports X Initiative
Sports X Initiativeは「スポーツ×〇〇」の様々な切り口から価値創造に取り組む人々のコミュニティであり活動プラットフォームでもあります。スポーツをシステムとして捉え、社会とのつながりをシステムとして捉え、その中で課題解決や価値創造に取り組む多様なメンバーの交差点でもあります。
日本のスポーツの未来をつくるために、私たちSports X Initiativeは「Sports X Leaders Program」「Sports X Conference」「Sports X Lab」の3つの活動に取り組んでおります。
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