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AGA|5分で分かる内服治療~ふさふさ頭への道~

AGA(男性型脱毛症)は男性によく見られる脱毛症の一形態であり、遺伝的要因やホルモンの影響を受けます。以下に、AGAの発症リスクや予防・遅延方法について詳細に説明します。

リスク要因|理屈を知って備えて安心

①年齢: AGAは一般的に30代以降に発症する傾向があります。
②遺伝的要因: AGAは遺伝的に影響を受けることがあります。特に親や兄弟にAGAの症状がある場合、自身がAGAになるリスクが高まります。
③ホルモンバランス: ホルモンの一つであるジヒドロテストステロン(DHT)が、AGAの進行に関与しています。DHTの過剰な生成や頭皮のDHTに対する過敏性がAGAの要因とされます。
<ホルモン解説|AGAの犯人はDHTです!>
テストステロンという名前の男性ホルモンが、5α-還元酵素というものでジヒドロテストステロン(DHT)へ変換されます。
男性型脱毛症(AGA)では、頭皮の毛包がDHTに対して過敏に反応し、髪の毛の成長が阻害されます。この過敏反応が続くと、毛包が次第に退縮し、薄毛や抜け毛が進行する可能性があります。

テストステロン  →→→→  ジヒドロテストステロン(DHT)
          ↑
        5α-還元酵素

予防・遅延方法|早めの対策で長寿命髪の毛へ

①早期の対策: AGAの発症を遅らせるためには、早期の対策が重要です。症状が気になり始めたら、専門医に相談しましょう。
②薬物療法: 治療や予防の観点から、AGAの薬物療法ではDHTの生成や作用を抑制することが大事です。フィナステリド、デュタステリドなどの薬物は、5α-還元酵素の働きを阻害してDHTの生成を減少させることで、脱毛の進行を遅らせる効果があります。これらの薬は専門医の処方を受ける必要があります。
③頭皮ケア: 頭皮の血行を改善するためにマッサージや頭皮の清潔さを保つことが重要です。また、頭皮に過度な負担をかけるスタイリングやヘアケア製品の使用には注意が必要です。
④健康的な生活習慣: バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理などの健康的な生活習慣は、髪の健康にも影響を与えます。

なお、ホルモンの関係や個々のケースにおける効果やリスクについては、専門医や医学的な情報源への相談が必要です。彼らは適切な診断と治療を提供するための専門知識を持っています。

内服治療<薬物療法>|それぞれにあったお薬を!

フィナステリドとデュタステリドは、男性型脱毛症(AGA)の治療において広く使用される薬物です。これらの薬物は、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することで脱毛の進行を遅らせる効果があります

効果:5α-還元酵素という酵素の働きを阻害し、テストステロンからDHTの生成を減少させる作用があります。AGAの症状を改善し、脱毛の進行を遅らせる効果があります。また、一部の患者においては髪の毛の成長を促進する効果もあります。
性的副作用:一部の患者で性的な副作用が報告されています。これには性欲の低下、勃起障害、射精障害などが含まれます。しかし、これらの副作用は一部の患者で一時的なものであり、薬物の使用を中止すると改善することが多いです。
その他の副作用:一部の患者で乳房の腫れや痛み、精液の量の変化、皮膚の発疹などの副作用が報告されています。これらの副作用は比較的まれであり、ほとんどの場合は軽度から中等度です。
効果の現れる期間: 多くの場合、3ヶ月から6ヶ月の間に効果が現れ始めます。
脱毛の進行を遅らせる効果: 1年から2年の治療期間で脱毛の進行が抑制されることが示されています。


比較|デュタステリドvsフィナステリド

効果:デュタステリドがフィナステリドよりもDHTの生成をより強力に抑制します。理由は、デュタステリドがより広範な5α-還元酵素のサブタイプを阻害するからです。
フィナステリドは、5α-還元酵素の1つのサブタイプ(5α-還元酵素タイプ II)を選択的に阻害します。一方、デュタステリドは、5α-還元酵素の2つのサブタイプ(5α-還元酵素タイプ IとII)を阻害します。このため、デュタステリドはDHTの生成をより効果的に抑制することができます。

副作用比較|デュタステリドvsフィナステリド
デュタステリドとフィナステリドの副作用に関して、デュタステリドの方が一般的に副作用のリスクが高いとされています。これは、デュタステリドがより広範な5α-還元酵素のサブタイプを阻害するため、体内のホルモンバランスにより大きな影響を及ぼす可能性があるためです。
デュタステリドの副作用の発生頻度:
  性的副作用:約1%未満
  乳房の変化:約1%未満
  その他の副作用:約1%未満
フィナステリドの副作用の発生頻度:
  性的副作用:約2%から3%。
これらの数値は、臨床試験や研究に基づく報告から得られたものです。
以下は参考文献です。

*ミノキシジルの内服について
ミノキシジルの内服は米国FDAにおいてAGAの治療薬としては認可されていません。
日本のAGA診療ガイドラインにおいてもミノキシジルの内服は推奨されていません。

参考|シャンプーを有効に使う~頭皮環境を整える

シャンプーの役割:
①頭皮の清潔化:シャンプーは頭皮の脂や汚れを取り除くため、清潔な状態を維持します。頭皮の清潔さは、健康な髪の成長にとって重要です。
②血行促進:マッサージや指の運動を組み合わせたシャンプーは、頭皮の血行を促進する効果があります。良好な血行は、髪の成長を促進するために重要です。

シャンプーに注意すべき点:
①成分の選択:シャンプーを選ぶ際には、頭皮と髪の健康をサポートする成分を含むものを選ぶことが重要です。一般的にはビタミンB、ビタミンE、亜鉛、センブリエキスなどが含まれるシャンプーが有益です。
②強力な洗浄剤の回避:強力な洗浄剤や硫酸塩(SLS、SLES)を含むシャンプーは、頭皮の自然な油分を取り除き過ぎる可能性があります。過度の乾燥は髪の健康に悪影響を与える場合があるため、できるだけ穏やかな洗浄力のあるシャンプーを選びましょう。

おすすめのシャンプー:
①ノンシリコンシャンプー:シリコンフリーのシャンプーは頭皮の通気性を高め、健康な髪の成長をサポートします。また、頭皮の負担を軽減する効果もあります。
②育毛成分配合シャンプー:亜鉛ピリチオンやケトコナゾールなどの育毛成分が含まれるシャンプーは、AGAの症状を緩和する効果があります。

今回の記事の出典:
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