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『逃亡者』にゴジラが…


#映画館の思い出

20代の学生時代、学校の講義が急遽休校になり一コマ分暇な時間ができてしまったことがあった。

当時、つるんでよく遊んでいたグループの友達と一緒に映画を見てそのあと夕方の講義を受けるため少し腹ごしらえをした。

そこで、映画館で見た映画は『逃亡者』だった。

そう、『ハリソン・フォード』が主演の方だ。

ストーリーとしては、やってもいない妻殺害の容疑をかけられた優秀な外科医リチャード・キンブル(ハリソン・フォード)が、自身の容疑を晴らすために執拗に警官に追われる模様が描かれている作品でした。

劇中ではリチャードが身バレをしないように転々とした先で変装をするものの間一髪で警官に捕まりそうになるという何ともスリリングな手に汗握る作品のはずが…

なぜか?
映画開始の中盤あたりから

どこからともなく

とてつもない音が…

「この映画、確か逃亡者だったよなぁー」

「いつのまに、ゴジラが登場しているんだけど…」

と何食わぬ顔をしながら周りに座っている友達数人を見渡すと

何んとなーく
もそもそ…
そわそわ…

まさに、ここで一句

『静けさや~劇場響くゴジラかな』

そうなんです‼

その正体は

私たちクラスメイトのAさんでした。
すでに友だち数名はドン引きして

「他人の振りをしている」

とはつゆ知らず
大爆音を響かせ
ひとり爆睡しているというのに…

ある意味、この

「鈍感力」

HSP傾向の私にとっては
様々な意味で関心させられたものであった。

Aさんは、再び何事もなかったかのように
映画の後半戦に
「もそっと」起き出し、エンドロールが流れてきました。
その後、腹ごしらえのためファーストフードに行きテーブルを囲みながら
やはり、話題の的はAさんが映画館で爆睡していたことだった。

しかし、当の本人は

「全く記憶にございません。」

という
熟睡加減だったことが判明。

再度、一同ドン引きでした。

当時は今のように
友達同士行くと学生割引優待というサービスもなければ
レディース優待の日もなく
大学や専門学校生でも通常の大人料金と同じぐらいしたと思いました。
ある意味、高い買い物です。

私がいた学校は学生の皆さんの中には地方から出てきたり
教育実習や施設実習もある学校でしたので何かと金がかかる学校でした。
その証拠に
男子学生の中には牛丼屋で外食するのにすら
オプションでポテサラや温泉卵をつけるかつけないか
バイト終わりにビールをぐびぐびっと
飲みたいけれどどうするか否か…

弱冠、ハタチそこそこの学生だが

「主婦(夫)だよなー」

という会話がごく日常的に飛び交うクラスでした。

そんなことで

「レポートを全教科提出したし、ささやかながらまぁーこれぐらいは贅沢してもいいよな…」

という気持ちで、はやる気持ちで一同映画を見に繰り出したのでした。

ちなみに、私が在籍していた学校は単位認定が大変シビアでした。

まずは、出席日数のチェック

レポート提出

レポートである程度の合格ラインを取らないと
最終段階の科目終了試験を受ける権利がない
という感じでした。

これを定期的に繰り返す日々でした。

また、福祉系の学校でしたので
不合格になると、実習に行かれない。

資格が取得できない・単位認定されない

留年

学費がかかる。

話は戻りますが
そんな状況でしたのでAさんにとっては今考えれば

⑴映画館の真っ暗照明
⑵程よい室内温度設定

⑶ランチ後という設定
⑷課題ノルマ達成の解放感

という

『程よい眠りを誘う4要素』

がばっちりと融合してあのような結果に至ったと考えます。

そうは言うもののグループ内では

「わざわざお金払ってまでも寝るなんてどうかしるぜ…」

という者がでてきたり

「さぞかし、極上の眠り(リア充)だったんだねー」

という者がでてきたり…

色んな人がいても
波風立たない寛容なムードは今でも懐かしい学生時代の思い出です。








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