[感想4]成瀬は天下を取りに行く


買った理由

実は気になってはいたけれど、ずっと学術書とかの方に興味があって手を付けていなかったのをいろいろ読もう、とアメトーークの読書芸人を見て『君のクイズ』と一緒に購入。

内容の感想

咀嚼のためにもう一度じっくり読むつもりではあるけれど、それをしようって思うぐらいには面白かった。

成瀬という大口を叩き続ける大物感溢れる女子中学生を物語の中心に据えて、数個の章立てで周囲の人の視点から見た成瀬と各人の物語が描かれる。
主人公だ、と思わせるような言動ではあるけれどよくよく解剖するとどんな子なのかというのがいろんな視点から見れる。唯一無二の親友や、疎ましく思っているクラスメイト、同じ地域に住む大人、とその視点も様々。

それぞれの人がそれぞれの物語を進んでいくようで、どれも成瀬が必ず関わってくるし、それによって起こる出来事で好転したりとまさしく主人公のような存在。それを短い章で次々と繰り出されるのでこの1冊だけで成瀬に対するある程度のイメージ像が固まってくるし、それが魅力的な存在になっているのが面白い。

最後の成瀬の独白で進む章は「女の子は🎶女の子同士で🎶」が一生頭にちらつくオタクの悪いところ全部乗せみたいな時間になったけれど、解剖があらかた終えた成瀬は実際どういう人物なんだ?というものに対する答え合わせに近い章というのが好きだった。
独白でどういう感性や思考をしているのかが気になる様な人物像ではあったけれど、蓋を開ければ普通の一人の女子高生なんだなというのがよくわかる。

帯コメで異様に持ち上げられる成瀬に嫌気がさしそうだけれど、読んだらちゃんと好きになれるのがスゴイ。
デビュー作なうえに他人に薦めやすいタイプの作品でもあるので結構すごいなと、月並みながら読んでる最中はずっと思ってた。ラノベばっか読んで感覚がおかしくなってるのかもしれないけれど、何かを見たり読んだりするときに「俺は好きだけど、読んでって言えるかはまぁ…」てなりがちなことが多い分誰が読んでもつまらな過ぎると思わないだろうと太鼓判を押せるのはさすが受賞作品、てことにしてる。



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