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【感想122】違国日記

 朱夏の制作でアニメもやるけれど、多分実写の方が面白く見れるとは思った。
役者の力がーとか言いたいところだけれど、シンプルにフィクションとしての触感よりもリアルの触感の方が合っている題材なんだと思う。アフタヌーン掲載作は結構好みの漫画が多くていくつか読んでいるけれど、そういう作風の漫画が結構あるなってイメージある。青年誌だとそういうもんなのかな。

他人に勧めやすい ★☆☆☆☆
個人的に好きか  ★★★☆☆

 独り身になった朝と引き取った槇生との共同生活を通して打ち解け合っていく姿を見ていくのが主軸。なんだと思う。
一言の「なんでもいい」に当人の表情だけじゃなく状況も加味して意味合いを全く異なる持たせ方をしていたり、一人きりになった時の閉塞感やそこで追い込まれる心理状況の描き方はデカいスクリーンでじっくり見れてよかったなと思う。

 あとは冒頭の事故で亡くなった朝のお母さんであり槇生の姉である実里の描き方は(多分原作である漫画でもだけれど)誠実で好きだった。
話しているシーンはあれど朝の内面で構築された母親の像であったり、第三者から出てくるエピソードから人物像を何となく推察できる程度の情報しか出てこないので、死者の考えの答え合わせはできないことをしっかり示しているのは作中人物である朝に対しても視聴者に対しても真っ当な向き合い方をしているなと感じた。

 そういうところは槇生が朝に対してまとまりきらない考えを吐露する場面でも見られてて、セリフの違和感はそこで納得するような感じで着地できた。
若干というかかなり読み上げているような文章になるところ、最初に挙げるなら朝を引き取ると宣言したところの説明とかは他のシーンと比べてもかなり異色な言葉選びだったので結構わかりやすく引っかかると思う。そこはどういう意図があるのかもちゃんと言葉にしてくれているので、それを汲み取ったうえでみていくとその後出てくる違和感ある台詞運びのシーンは味が出てくると思う。

 といいつつもあんまり他人には薦められない理由は、他の要素がかなり散らかってる印象が強くて一見だけじゃ通じる気がしなかったから。
朝の周りの人物の描写によって思春期真っ只中で少し達観する理由を得てしまった朝に気づきやきっかけを与えていくんだけれど、そこが一回見てなるほどねとなってくれる人はあんまり、というかかなり少ないとは思う。

 何がともあれ、結構いい映画だったなとは思う。新垣結衣さん応援男性として太鼓判を押せます。

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