【感想135】赤羽骨子のボディガード
意外とやれてるっちゃやれてる範疇の実写映画だと思う。
一応週マガ購読者なので先に原作を一通り読んでから行ったけれど、序盤のシーンは一通り踏襲しつつも初見の人にちゃんと印象に残る様な改変を加えているところもあったりで、ちゃんとターゲット層を理解したつくり視点なぁって感心した。
そのうえでこの映画は原作から酷い改変がまあまあ多いってのがきつかった。
他人に勧めやすい ★★★★☆
個人的に好きか ★★☆☆☆
良くも悪くも「素直に楽しめる」ていう口コミ通り、殺陣は早送りを利用して動作にモサモサ感がない迫力ある画面を楽しめるしストーリーもちょうどいい王道の学園バトルモノなので、小難しいところが一切ない。
土屋太鳳演じる正親もいいキャラをしてて、原作でも結構愛情込められてるなってのが伝わるぐらい味あるキャラを損ねることなく演じ切る力を見せられた。MVPがいるなら間違いなく土屋太鳳、次点で遠藤憲一。
純粋なエンターテイメント映画としてなら十分やれてるし、各キャラのやっつけコスプレ感あるビジュアルに目を瞑ればまぁいいんだと思う。
ただ漫画の『赤羽骨子のボディーガード』のことを考えると、飢えの褒められるところが消し飛ぶくらい渋い表情のまま劇場を出てきた。
映画では主人公の威吹荒邦が熱血バカのヤンキーそのままの描かれ方だけれど、実はこいつが作中1,2を争うぐらいクレバーなキャラです。
クラス内の裏切り者がだれか?ていうところで正体を突き止めるのも荒邦だし、その見つけ方も読んだ時はかなり驚かされるぐらいしっかり計画していたものだったので、こういった物語に関わってくるキャラクターの魅力を無くしてしまう変え方はいただけなかった。
ほかにも劇中でもあるクラス内にいる裏切り者を探すときも、展開を引っ張りすぎて読者の関心が薄れる前にちょっと変則的な一手を打っていたりと、原作が単純なアクション漫画の文脈から一歩外しつつもバトルモノとしてのアツさを維持しているのもあるので、こういった物語の旨さを捨てて初見の顧客にとってのストレス要素をできるだけ取り除いた味気ない作品に仕上がっているのが一番よろしくない。
なので「頭空っぽでも楽しめる」「漫画原作らしい」ていう口コミが遠回しに原作に対する悪評として捉えられてもしょうがない映画になっちゃっている。
原作は踏襲しつつも、漫画として面白いと思った芯の部分はお世辞にも表現できているとは言えない、ガワだけそれっぽい何かっていうのが正直な感想になってしまう。
「頭空っぽでも楽しめる」映画っていうのは話の作り込みをしない言い訳にはなり得ないよ。
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