見出し画像

【感想100】まどろみの彼女たち

 この映画を観終わった後、あまりにも悔しすぎて大戸屋で半分猛省モードで話してたし挙句の果てには次の日の仕事でも設計書かいている間ずっとモヤモヤしっぱなしだったので、劇物だと直感で感じるものはちゃんと休日に見るようにスケジューリング能力を整えていきたい。

他人に勧めやすい ★★★★☆
個人的に好きか  ★★★★★

 こういう創作を見せられてしまうと、心の底から悔しくて仕方ないね。

 Perfect Nervousと動物園のふたりの2作品で構成されていて、共通して女性二人を主役として据えている
どちらも百合のワードで収められない(というよりそれで収めるのは安直すぎる)絶妙な距離憾の描き方と、二人を取り囲む世界の描き方の2つが類を見ない空気感をつくり出している。

 両作品とも前進する活力を失っている少女のもとに自身の価値観を揺るがすような存在と出会い心境の変化が現れる、というプロットは同じものの、前者は純文学、後者はシスターフッドの側面が強く出ていてそれぞれでかなり色の違う作品になっていた。
見ていてすぐにピンと来るぐらい光や立ち位置含めた構図にかなりこだわって映しているなというのが伝わってくるし、会話についても1つ1つの言葉の選び方や余分な会話のなさからも情報の出し方は気を使っているところはあるよな、ていうのも感じた。

 この作品は特に二者の距離の開け方や作用しあう様子を的確にすることもなく、何にもラベリングできない神秘性を持たせているのが一番の魅力として持っていて、そこには役者さん4名の力量も絡んできてるとは思ってる。
特によく知っている安済さんも、宛書として与えられていないノタニという存在に対して仕草や雰囲気に言葉遣いと、怖いぐらいハマっている。
個人的には花音さん演じる山田が好き。純粋無垢な萌え萌え小僧なので。


 30分×2本とシナリオ自体は簡素かつ明確なメッセージを持っていなかったりと難しく感じそうな作品ではあるけれど、映画として個人的にはかなり好きなタイプに分類されるので本当に急ぎで映画館に見に行ってよかったなと思える作品だった。
こういった繊細さを孕んでいる作品は勧めにくい、というよりこういう人に見せてもしょうがないよなっていう人が浮かぶ、そういう意味で人を選ぶ必要がある作品は今後も見ていきたいし、表現したり発掘されたりしてほしいっていうのが特に強いかもしれない。
エンドロール後に1シーンあって、そこでのとりとめのない会話はこの2本を合わせた意味として十分すぎるほど頷ける部分ではあったので最後まで余すことなく見てほしい。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?