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【感想99】夜明けのすべて

 夜型なのもあって11時を過ぎたタイミングに起きるでもしないと頭が冴えないんだけれど、今月だけでも朝一の回を見に行ってる。なんだかんだで起きれるし朝食代わりにポップコーンモサモサ食いながらだとウトウトもしないしで結構いいかもしれない。午前十時の映画祭、自分行けます。

他人に勧めやすい ★★★★☆
個人的に好きか  ★★★★☆

 時間が合ったから、ぐらいの理由で見に行ったけれどとても良かった。
キャスティングが恋愛要素を意識していたのかなと思っていたけれど、各人物のはまり役だった。元になる原作の力が大きいかもしれないけれど、三宅唱の打ち出す演出とのかみ合い方が映像で見る良さを強めているのでこれはこれでいい作品になってるのかなあとも思った。

 パニック障害を抱えている山添と、PMSを抱えている藤沢が交流を通してお互いの症状に理解を深めながらゆっくりと前進していくお話。
最初は藤沢視点を中心に話が進んでいくけれど、上白石萌音本人の印象にハマりすぎてるぐらい善性の溢れ出ている雰囲気が出ていてそこにPMS由来の苛立ちを見せてくるので、藤沢の急変による傍から見た時の異質さはより伝わってくる。

 話の根本としては痛みを抱えている人同士での歩み寄りが大きいなと思った。
通院に同席した山添の恋人が理解しようと主治医にがっついた質問の連続であったり、カウンセリングのシーンから判明する別種の痛みを抱えている人同士の会話であったり、山添と藤沢がお互いの症状に興味を持ち始めてからの進展であったり、どうしても同じ立場にならないと上手なテリトリーの踏み込み方が出来ないもんだなという感じでもある。

 途中で釘をさすように挿し込まれる異性間での友情が成り立つか、という分かりやすい示し方であったりと、幅広い人に馴染みやすいチューニングがされている部分も所々あったので気兼ねなくいろんな人が見れる作品として仕上がっているとは思う。これを見て理解した気になる、ていうのは怖いことではあるけれど痛みを知るきっかけとしては悪いもんじゃないとは思う。

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