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【感想130】化け猫あんずちゃん

 ストーリーは大して刺さりはしなかったけど、表現とかそういうところで面白いところはたくさんあったし見てよかったなーとは思った。
日常ものっぽいけれどしっかり家族の話をする。けれどテイストは日常もののまま展開するので、映像的な面白さに価値を見出さない人には厳しいかもしれない。

他人に勧めやすい ★★★☆☆
個人的に好きか  ★★★☆☆

 前情報で唯一入れてたから余計に思ったけれど、アニメの絵で邦画の動きをしてる違和感が凄まじかった。
これがマイナスの違和感ってわけでもなくて、カメラワークやキャラの動きが実写での映し方になってる(これはロトスコープを使ってるので当たり前だけれど)し、セリフのワードチョイスや場の雰囲気からもアニメ特有のポップさがかなり脱臭されている。
なのに後半での地獄から来た鬼たちやあんずちゃん達とのチェイスシーンはカートゥーンの動かし方が目立っていてアニメ的な絵の面白さが際立っていてるので、両者の見せ方で良いところを適所でピックアップして映しているのがこの映画で一番すごいところだなとは思った。

 あとは演技面だけれど、これも映像収録時に一緒に撮っているのもあって異様にハマった喋り方をしてる。
特に青木崇高はパパ役で出ているけれど、口調や仕草がダメな父親らしさがにじみ出るもので、特に劇中の説明はなくても背景をつかめてしまうぐらい飛び抜けてハマってたと思う。
声優がほとんど出演していないのに引っかかる様な拙い演技が少ないのもロトスコープでの作成で身体を使って演技ができるからこそというのもありそうではあるし、映像の表現技法だけでなくそれによる副産物的にもオリジナル作品で噛み合う要素は結構あるんだなっていうのは新しい発見だった。

 

 お話の中身自体に興味ある人は、「10歳の女の子が抱える複雑さの始まり」を意識すると腑に落ちやすいかなあとは思います。ティーンエイジャーほど絡み合った人間関係もなく、家族関係に絞った世界で鬱屈さを晴らせないまま田舎町にやってきて、ワガママを突き通してしまうような強引さはあるもののそれには無理がある事も理解している年頃の女の子。
言ってしまえば思春期一歩目を踏み出した子が過ごす時間を見守ると思えば、結構楽しめるかもしれない。刺さりはしなかったものの個人的にはそういう落とし方で見終わってから結構いいお話だったなぁ、なんて振り返ってます。

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