[感想1]姫とホモソーシャル

買った理由

映画関連の本を読みたいなと思ったし、フェミニズムに関する知識は地味に興味があったから。

ただ中身を見るまでは面倒なSNSフェミニスト論法だったらどうしよう…と心配ではあったけれど、まえがきを数行読んでこれは信頼できる著者かもしれないと思ってレジまで持って行った。

内容の感想

かなり内容は理解しやすい構成だし、ためになるなと思いながら読んでた。

1段落で映画1作品を取り上げつつフェミニズムに即した意味合いを扱っていく、というのが大まかな流れになっている。
記したい内容に言及できるまでのあらすじを(ネタバレになるけれど)しっかり書かれているので未視聴の映画でも本筋の内容にはついて行けるようにされてる、やさしい本になっている。

まえがきではディズニープリンセスについてのフェミニズムに関した見方、1章では『RRR』の監督であるラージャマウリが数年前に撮った『バーフバリ』シリーズや『マッドマックス』シリーズを宝塚歌劇団に例えた見方を展開していて、そこがわかりやすいフックというのもあってパブサしたときの感想ではこの1章の部分が大多数を占めていた。
あとフックになりやすいのは最後に取り扱う『風の谷のナウシカ』のナウシカや『ハウルの動く城』のハウルを取り上げてる章。ステレオタイプの男女像と真逆の男女である2人のポジションを踏まえたうえでのあらすじを辿る部分はほとんどの人が理解しやすそうではあるので、部分ごとに分けて真っ先に読むとしたらここかな、と思うぐらいオススメ。

特に面白いなと思いながら読んでいたのがホラーとの関連性。
ホラーのお決まりについて、時代背景やフェミニズムの視点での指摘内容はかなり納得するというか腑に落ちる部分が多い。ある書評では妥当性のある、という言い方をされていたけれどまさしくその通りな感じ。
最後に生き残る女性(ファイナルガール)や途中犠牲になる男女の持つ意味合いなんかも面白いなとおもいながら読んでいた。

明確にこう、という答えを導き出すようなもんでもないことを踏まえればオススメできる一冊。
映画を観ている人、というよりもフェミニズムに対する興味関心や20世紀の歴史に沿った価値観に触れたいという気持ちがあると面白く読めると思う。

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