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【感想125】数分間のエールを

 ライトな作品なんだけれど、キッチリと伝えたいものに筋を通して表現しているのもあって見終わった後に残るものはすごく大きいと思う。
映像表現も面白いところが多いし、話自体も飽きる前にサクッと着地させる潔さもあっていろんな人に見てもらいやすいのは良い作りだなあと。

他人に勧めやすい ★★★★★
個人的に好きか  ★★★☆☆

 創作賛歌を謳いつつも挫折した人たちを交えた葛藤も混ぜつつ、最終的に叩き出す結論はドストレートに熱いメッセージで正直この手の説教臭い作品に対して久々にグッと来た。

 MVを自主制作する主人公っていう、二次創作なのにゼロイチで生み出してない側の人間を置いてるのもなかなか面白いことするなぁとは思った。
結局自分一人だけじゃ生み出せないこと、しかももう二人いるメインキャラはゼロイチでの生みの苦しみと第三者からの評価の悩みを経たうえで決断している、いわば2,3歩先は行ってるから主人公を宥めるような役割になっているし、寄り添ってくれるような人や物事が自分の外の世界に置かれていないっていうのが酷なポジショニングだし狙ってたら憎いなぁとも思う。

 そんな中で出した答えが今まで自分がやってきたことと、それを肯定してくれた一言をきっかけに思い返すっていうのがここ最近の中のつなぎ方だとバッチバチに刺さりまくった。やっているのが二次創作であることに対するアンサーも備えられているのもあるのはちゃんと巧いところだと思ってる。
ここは『夜のクラゲは泳げない』でメインテーマだった(らしい)「自分の好きを肯定する」に対するベストに限りなく近いアンサーだったのもあって、最終話付近だったヨルクラに対するブローが不幸にも同クールアニメ以外からも同じ人の脚本から出てきたのが余計に可哀そうだわ。

 デザインというか本編の絵柄もかなり特殊で、フリーソフトのBlenderを使ったCGというバンドリやガルクラとも違う系統のデザイン。それをかなりポップな表現でキャラを動かしていたり、パソカタでしかない作業風景がVR空間での直感的な操作に置き換えていたり、映像で見た時の面白さや目新しさもいろいろあったのでお話の他にも目を配りたいところは結構あると思う。


 わりとガバな話ではあるけれど、そんなのどうでもいいからこれを言いたいんだ、てアニメなのでそれを承知でいけばちゃんと刺さって劇場から出てくることになると思う。

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