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言語学者だからって外国語が得意なわけじゃない。

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Thun 湖と牛が大好きな、スイスラボ所属の言語学者による、言語学小咄。 日々の雑感を、言語学に(むりやり)絡めながら綴る予定です。
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#スウェーデン語

にんじん古今西北

みなさん、こんにちは。 Yamayoyamです。 あちこちの記事で「ストックホルム大学のバルト語学科で勉強した」と書き散らしてきたので、もうおなじみかも。Yamayoyam はかつてスウェーデンのストックホルムに住んでいました。 スウェーデンはバルト海をはさんでリトアニアのお隣さん。ですから、スウェーデン語は北ゲルマン語、リトアニア語はバルト語で語派は違いますけど、昔から交流が盛んでした。 そのせいなのか、ストックホルムのスーパーで買い物中に「おや?」と思うことがたまにあり

Gratis と grattis の咄

みなさん、こんにちは。 Yamayoyamです。 クリスマスがあっけなく過ぎてしまって、もうすぐお正月です。時間が経つのが年々早くなってる気がして、今後が不安でしかたないです。 以前の記事で、ドイツ語とスウェーデン語には、綴りが同じで発音も似ているのに意味が違う言葉があってややこしい、という小咄をしました。Gift やsaft が槍玉に上がってましたね。今回の小咄では gratis と grattis の咄をしようと思います。 スイスの住宅街を歩いているとよく見かける光景

「毒の贈り物」? ~ ドイツ語とスウェーデン語のGiftの話

こんにちは。スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 今日はスウェーデンで出会った言葉 gift にまつわる小咄をしようと思います。 ドイツ語・スウェーデン語の Gift の意味深な意味「Gift」(ギフト)はとても面白い言葉です。スウェーデン語、ドイツ語、英語で綴りが同じ。スウェーデン語(イフト)を除いて、発音も似たようなもの。でも意味にだいぶ意味深な違いがあるのです。英語ではもちろん「贈り物」という意味ですね。でも、ドイツ語では「毒」。スウェーデン語ではなんと「