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言語学者だからって外国語が得意なわけじゃない。

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Thun 湖と牛が大好きな、スイスラボ所属の言語学者による、言語学小咄。 日々の雑感を、言語学に(むりやり)絡めながら綴る予定です。
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#大人の語学学習

第一次子音推移もあるんですよ!

みなさんこんにちは。 Yamayoyamです。 超お久しぶりです。 すっかりご無沙汰している間にスイスからスウェーデンに引っ越しました。 今年の1月から、ストックホルム大でポスドクの首の皮がつながったのですが、色々あって引っ越しできずにおりました。 幸いボスの先生も「いついつまでに必ずストックホルムに移るように!!」などと仰ることなく、ゆる~い感じでした。 私事でのゴタゴタもあったしでお言葉に甘えていたら8ヶ月も遅れた(汗)。 今回はスウェーデンからお送りする一本目の記事

大人の語学学習

こんにちは。ご無沙汰してました。 Yamayoyamです。 季節はすっかり巡り、もう夏ですね! 日本は梅雨に入ったころでしょうか。 さて、本日は、大人の語学学習というお題です。 「若いころは語学を学習するのがそこそこ得意だったけど、年をとる毎に新しい単語が頭に入ってこなくなった」というボヤキを年長者から聞くこと、ありませんか? 私は昔お世話になっていたある先生と自分自身の父親から聞いたことがあります。 なんて言っているうちに、自分自身もそんなふうに感じるお年頃になってき

denken 「思う」と dünken 「思われる」~「態」の咄

みなさん、こんにちは。 Yamayoyamです。 以前ピンク色の投稿で呟いたのですが(↓)、 満を持して(?)denken 「思う」とdünken「思われる」について書いてみたいと思います。 dünken「思われる」はスイスドイツ語で用いられることの多い言葉。 ドイツ語学習をされた方なら、「aus|sehen」や「scheinen」を代わりに習っていると思います。というか「aus|sehen」や「scheinen」が標準ドイツ語で対応する表現です。 例によって家庭内イン

スイスドイツ語方言ウォッチ!田中泰三(著)『スイスのドイツ語』を読んでみました

こんにちは。Yamayoyamです。 今回は、スイスドイツ語方言ウォッチャーネタでお送りしたいと思います。 うちのゲルマン語学者(またの名を家庭内インフォーマントともいう)は、スイスドイツ語方言協会の会長をボランティアでやってます。 その方言協会の蔵書用アーカイブが一昨年、お引越ししました。 それ以来、方言協会の会長をはじめとする会員のみなさんは、新しいアーカイブで蔵書の整理をしています。 その整理中に 「なんか日本語の本が出てきた。これ、どう?」 とうちのゲルマン

もう死にそう~ Am Sterben 構文(正しくはAm-progressive 構文デス)

こんにちは、 Yamayoyamです。 みなさん、運動はしてますか? 私は春から秋にかけてよくハイキングに出かけます。 おしゃれも健康も足元から!をモットーに少しでも足腰を鍛えるように心がけています。 どれだけ実行できているかはともかく、心がけてはいます。 ハイキングには、スイスの(義理)家族に連れていってもらうこともしばしばあるのですが、こちらの皆様の健脚っぷりには毎回脱帽です。 まるでアルプス越えの予行演習かのように、20キロでも30キロでも歩きます。 私は10キロで

言語学者は語学が得意なのか?問題

こんにちは。 お久しぶりになりましたが、 スイスラボの言語学者 Yamayoyamです。 言語学をやっていると言うと、よく「何か国語喋れるの?」と聞かれます。 何か国語も堪能な人をポリグロットと言ったりしますけれど、 ポリグロットな言語学者の方や、ポリグロットほどでなくとも語学が得意な言語学者はもちろんたくさんいらっしゃいます。 ところが、Yamayoyamは言語学徒ですが、マガジン名「言語学者だからって外国語が得意なわけじゃない。」にもある通り、あまり語学が得意なほうでは