マガジンのカバー画像

言語学者だからって外国語が得意なわけじゃない。

34
Thun 湖と牛が大好きな、スイスラボ所属の言語学者による、言語学小咄。 日々の雑感を、言語学に(むりやり)絡めながら綴る予定です。
運営しているクリエイター

2021年11月の記事一覧

蜜のはなし

こんにちは。スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 私はひょんなことからリトアニア語の歴史に興味を持って、大学院の修士課程からリトアニア語の勉強を始めました。今回は、リトアニア語と日本語が古くから共有していた「みつ」という言葉について、思い出話とともに綴ろうと思います。 学部3回生のときに言語学研究室への配属を選び、印欧語比較歴史言語学というのに出会いました。地理的にある程度つながりのある地域で、体系的な類似性が相互に観察できる言語たちがあります。ヨーロッパで古

みんな大好き Grittibänz のレシピじゃなくて、名前の由来について。

みなさんこんにちは。スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 この季節(11月)になると、スイスのスーパーに「Grittibänz(グリッティバンツ)」というパンが並ぶようになります。こんなの↓。 今年早くも2個目のこちら(↑)は、家の近所の Migros にて購入してきました。スイスには2大スーパー、Migros と Coop があるのですが、Migros はその一つです。どの街にも Migros と Coop の店舗が競い合うように並び立っています。って、ちょ

スウェーデン語・ドイツ語の Gift の続きで、バルト語の「結婚」にまつわる小咄を。

こんにちは。スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 前回の言語学小咄は、「結婚」に縁のある言葉についてでした。お楽しみいただけたでしょうか?今回はそのつながりで、バルト語を題材にした小咄をついに披露したいと思います。 バルト語には gift 関連の、クスリと笑えそうな単語が残念ながらみあたりません。なのでシンプルに「結婚する」の表現について書くことにします。バルト語では、男性と女性で「結婚する」に違う単語を使います。今でこそニュートラルに「結婚する」をよく使いま