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【こころnote】声優・小原乃梨子さんの訃報

夏の日、テレビの前。
映画ドラえもんを見つめる。
お馴染みの冒頭の掛け声で始まる。

「ドラえもぉ~ん!」

叫びたいのはテレビの中の彼ではなく
今はこちらの方らしい。

おい、のび太。

ジャイアンのように呼び掛けようか。

のび太さん。

しずかちゃんのように呼び掛けようか。

のび太くん。

大山さんのように
ドラえもんのように友人として
呼び掛けようか。

先日亡くなった増山さんは
不二子のイメージが強いだろう。
しかし
ひょうたん島のテケのような
少年役もやっている。
バカボンのママのような優しさだってある。

小原さんとて同じで。

ドロンジョさまのような
セクシーで憎めない悪役だってやる。

普段はドジなのび太だけど
映画だと優しさ全開。

日本誕生じゃククルや
ペガたち新しい友達と
仲良しだ。

ケンカしても結局ドラえもんが
大好きで
ブリキの迷宮は
必死にドラえもんを助けようと
活躍した。

ピー助やキー坊。

ゲストキャラを引き立たせるのは
いつだってのび太だった。

それは
小原さんのあの声だったから
彼の優しさを
ボクらは感じ取ってきたのだろう。


キミのような
メガネのキャラクターがいたから
ボクはメガネをかけるのも
恐くなかったんだ

ボクたちは幸せだった。

アニメはいまや世界に誇る
文化のひとつ。

かつて子供番組は下に見られて

声優さんたちも
地位が低く見られてしまうことも
多かったと聞く。

アニメ漫画ゲーム

オトナたちがちょっと
バカにしていた世界に
夢中になっていたボクたちが

いつしかオトナに
なっていったらしい。

肩身は狭くとも

胸を張って大好きと言えるのは
幸せなことなのだ。

世界はほんの少し変わった。

アニメの影響力を
受け入れてくれた。

鳥山先生のいない未来。
まるちゃんのいない未来。
不二子のいない未来。

のび太のいない未来。

育ててくれた恩人たちの
いない世界を

ボクたちはこれから先
生きていく。

故人の話題を欠かさず
語り続けていれば

いつだってそばにいてくれると
信じている。

育ててくれた恩人たちの
いない未来を生きる
次の世代の子たちと

小原さんののび太はね、と
語り続けていたいのだ。

時代を体験出来たことが
羨ましく思うだろうと
分かっている。

だからこそ高い熱量で
語り続けていたいのだ。

(以下加筆)

日本誕生はテープ擦り切れるくらい
何度も観ただろう。

小さい頃やたらと
不機嫌な時に家出すると
書き置きしたのも

のび太の影響力ゆえ。

「衣食住でありまぁ~す!」
と珍しくマトモなことを
発言して直後に
「道具貸してぇ~。」ときたもんだ。

石器時代に着いた時も

「ここからボクの土地ぃ~い~ぃ。」

なーんてなことを言い出す。
「日本中、空き地なんだよぉ?
(まだ人類に遭遇していないため)」
とドラに叱られる。
「いや、お恥ずかしい。」

極めつけは

「ククルはボクのおじいちゃんのぉ、
おじいちゃんのぉ、おじいちゃんのぉ…。」

あの軽妙な言い回し、
小原さん。ズルいですよ。
面白過ぎますもの。

もちろん決めるとこは
決めますから
いくらのび太とはいえ。

今はもう
役は交代されて
大原めぐみさんがのび太の声を
担当されている。

長く愛されている
アニメ作品

世代交代もつきもの。
しかしドラえもんも
来年で交代から20年だ。

受け継いだ方たち、
色々なキャラクターの
バトンを
託された声優さんたちは

みなとてつもない
プレッシャーと責任を
背負っていらっしゃる。

真似に終始せず
今の声を届けてくださっている。

劇場版はリメイクも
多かったけども

今のチームで出来る
新しい
オリジナル作品に
どんどんチャレンジして
欲しいと願っている。

2112年までは
ずっと続いて欲しい作品だから。

新旧それぞれの
好きな作品
好きな時間を

親子や友達と

あらゆる世代のファンと

この先もずっと
語り続けたい。

小原さんの声に
育てられたちびっこの
ひとりとして

あなたのいない世界は
寂しいけれど

忘れず
ずっとずっと
思い出を語り続けたい。

(加筆おわり)

当たり前が崩れるのは不安だ。
だから無性に寂しくなる。

のび太くんはそばにいる。
忘れない限りいつだって。

小原さんのあの優しい声は

いつまでもずっと
耳から離れることはない。

R.I.P.

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