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THE コレクター逸翁

池田市にある逸翁美術館へ行ってきました。こちらの美術館は、阪急電鉄をはじめとする阪急グループの創業者である小林一三の雅号「逸翁」を冠した美術館で、美術品のコレクターでもあった逸翁のコレクション5千点あまりを所蔵しています。
現在は「THE コレクター逸翁 ~その収集に理由アリ~」という企画展を開催しています。

美術館入口近辺のポスター

逸翁の収集品は、絵画や書跡、陶磁器や漆芸品など多種多様ですが、そうした作品たちを入手した経緯や理由を「1章 贈り物を収蔵する」「2章 お気に入りの道具を購入する」「3章 茶会のために収集する」「4章 縁あって所蔵品となる」という4章立てで分類し、入手の経緯などの丁寧な解説付きで展示されていました。

入り口

1章は贈り物ということでしたが、例えば池田焦園・輝方夫婦の合作である「役者絵図 双幅」は逸翁が彼らの面倒な頼みごとを頼まれた際のお礼としてご夫婦で逸翁のために描いて贈られたものだったり、逸翁の祝い事の際にプレゼントとして贈られたものだったり、贈り主がいちいちものすごい面々なので「ワァ…」と感じ入りながら名品の数々を眺めました。

黒地歌劇雛祭楽譜蒔絵棗 逸翁好 三砂良哉作
(絵ハガキより)

上の可愛らしい棗は、宝塚歌劇を記念した歌劇茶会のためにお抱えの塗師三砂良哉に作らせたものだそうです。(私は、これは可愛らしくて好きですが評判はあまりよろしくなかったようですw)

桜花游鯉図 呉春筆
(絵ハガキより)

逸翁といえば、呉春や、その師である与謝蕪村を多数収集していましたが、その呉春愛のあふれるエピソードの書かれた解説なども大層面白く、ちょっとホロリとさせられたりもして展示室をゆっくりと解説を読みながら歩く時間は一冊の本を読んでいくような感じでもありました。

思えば私自身が与謝蕪村を好きになったのは、こちらの美術館で蕪村展を見たからであり、呉春についても詳しく知ることができたのはこちらの企画展がきっかけでありました。逸翁の、収集品への愛情、それらを作り出した作者たちへの敬意がまっすぐに伝わってくるような、とても良い内容の企画展でした。

次回展のフライヤーもいただいてきました。『「地蔵十王像」重要文化財指定記念展 地蔵と地獄』だそうです。これもまた面白そうです。


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