見出し画像

絵本のひみつ展

広島2日目は広島市のひろしま美術館へ行き、「宮城県美術館コレクション 絵本のひみつ展」です。

宮城県美術館には月刊絵本「こどものとも」の初期の作品と、そこから絵本の世界にはばたいていった作家たちの原画を核とした絵本原画コレクションがあるそうです。「こどものとも」には私自身が子供の頃に大好きで読んでいた絵本がたくさんありますし、我が子が幼稚園に入園してからは子供に読んであげるために定期購読をして親子で楽しみました。子供が幼稚園から借りてきた絵本を読んであげていて、これは自分が子供の頃に親に読んでもらった絵本だと気付いたこともありました。「こどものとも」は、そのような定番の絵本をたくさん世の中に送り出してきた歴史の長い月刊絵本ですから、自分自身が原画を見て懐かしくなったり楽しくなったりできるだろうと思い、見に行くのをとても楽しみにしていました。

フォトスポット

上のフォトスポットは、中谷千代子さんの「かばくん」ですね。かばくんの原画はキャンバスに油彩とインクで描かれていました。原則として会場内の原画は撮影禁止でしたので、フライヤーと購入した絵ハガキから図像をお借りしてご紹介します。

堀文子 『はなとあそんできたふみこちゃん』より
「こどものとも」25号 1958年4月

堀文子さんの「はなとあそんできたふみこちゃん」の絵本は残念ながら読んだことがなく(生まれてもいない頃の絵本)、でも何て斬新な画面なんだろうと思い、原画を見てとても驚きました。
「こどものとも」は、当時の洋画、日本画、漫画、商業デザインなどに携わる美術家に、絵本という新規の世界で思い思いの発想で絵を描いてもらっていたそうです。そこには「子供向けなんだから」
という妥協の気持ちなどまるでなく、絵本という媒体でどうやって子供たちを楽しませるか、工夫に工夫を重ねた絵本ならではの表現をたくさん見ることができました。

山本忠敬 『ピー、うみへいく』より
「こどものとも」30号 1958年9月

山本忠敬さんは「しょうぼうじどうしゃじぷた」を描かれた方で、その山本さんの最初の絵本が「ピー、うみへいく」だったそうです。これも読んだことのない絵本ですが、じぷたとは違い、はっきりとした色や形で温かさを感じますし、ピーという小さな船の姿にはじぷたと重なるものもあり、乗り物を描きながらも子供の視点で描くということを大事にしていたのだろうと思いました。

しょうぼうじどうしゃ じぷた より

原画の中には、黒い輪郭線を描いた版と色の版を分けて描いたものもあれば、光沢のあるフィルムに黒い描線の下絵をコピーで転写し、そこにアニメのように色を塗ったものがあったり、手間をかけたものがたくさんありました。

中谷千代子 『かばくん』より

原画は朝倉摂、太田大八、田島征三、長新太、なかのひろたか、林明子、山脇百合子など本当に多数の貴重な原画が展示されていて楽しかったです。

そして、ひろしま美術館のコレクションルームも面白かったのでご紹介しておきます。こちらの美術館には印象派を中心としたフランス近代絵画と、日本洋画や日本画などの日本近代絵画を所蔵していて、コレクション展示室に80点ほどを常設展示しています。そして、自分のスマホやタブレットで作家や作品の解説を読めるようなシステムもありましたので、じっくりと解説を読みながら鑑賞できました。

アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック
アリスティド・ブリュアン

ロートレックの有名なポスターの、最終稿に近い下絵だそうです。「うわー、この人知ってる~!」って感じです。

アンリ・マティス
赤い室内の緑衣の女

マティスらしい赤い室内の作品ですね。これはかなり好きです。

レオナール・フジタ
三王礼拝

十字架降下、受胎告知と3作セットで描かれたもので、並べて展示してありました。1927年の作ということですし、作品の中に嗣治Foujitaのサインがありましたので、レオナールにはまだなっていない藤田嗣治の作ということだと思います。金箔が貼ってあり、日本画をかなり意識した贅沢な作品です。

カフェ・ジャルダン 特別メニュー
ひみつケーキ

美術館を楽しんだ後は、併設のカフェ・ジャルダンで特別展の記念メニューである「ひみつケーキ」をいただきました。中に何が入っているのかは「ひみつ」です。気になる方はぜひ美術館に足を運んでみてくださいね。8月18日まで開催されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?