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君があまりにも綺麗すぎて

例年よりも遅めの梅雨入りをした近畿地方です。
今日は夜中から降っていた雨が早朝くらいに大雨になり、阪急京都線は信号点検とかで止まってしまい、行こうかどうしようか相当迷った結果、空が明るく晴れてきたことを確認したので京都の嵐山へ向かいました。京都線はもう動き出していて、乗り換えもすんなりといき無事に嵐山に到着できました。
福田美術館と嵯峨嵐山文華館の2館で行われている「君があまりにも綺麗すぎて」を見に行きました。まずは福田美術館です。(でも、第一会場が文華館さんの方であることに、行ってから気付きました)

雨上がりの嵐山

朝の大雨のせいでしょうか、嵐山は普段よりも人が少なく、人力車も退屈そうにしていました。

とてもキャッチーなタイトルの展覧会「君があまりにも綺麗すぎて」、福田コレクションの中から、選りすぐりの美人画を見せてくれるというもので、福田美術館の方では近代日本画の美人画です。「東の清方、西の松園」と称される鏑木清方と上村松園をメインに据えて、それに続く世代の画家たちのものも見ていきます。

上村松園 《静御前》

館内は基本的に撮影が可能ですが、鏑木清方のものは殆どが撮影不可、伊東深水のものはSNS禁止など、割と細かく禁止されているものがありましたので要注意です。
上村松園の美人画は、確かに見た目の美しい女性を描いていますが、その内面に抱く複雑な気持ちが表現されていてどれも素敵だと思いました。

木村武山 《龍田姫》

写真撮影が下手ですみません。今回、これは良いなあと思ったのが上の「龍田姫」で、もうとにかく紅葉の色が見事で、ずっと眺めていたい1枚です。

梥本一洋 《朝凪》

今回は初公開の作品が多くて、上の朝凪も初公開の1枚です。旅を楽しむモダンガアル2人の姿、とてもお洒落で素敵じゃないですか?手前の女性は透け感のあるワンピースで、腕に扇子をひっかけています。レースの靴下にパンプス、当時もこういう着こなし方があったんですね。女性を描いた絵を見ると、その当時のファッションの特徴や美意識の違いなどが分かって面白いです。

パンとエスプレッソと福田美術館にて

カフェとショップも覗いて、次は嵯峨嵐山文華館です。

嵯峨嵐山文華館

こちらでは、美人画が江戸時代に生まれたというところからのスタートで、浮世絵の肉筆を中心とした展示がまずありました。そう、本当はこちらから見ていくべきだったと気付いたのでした。

作者不詳 《寛文美人図》

最初の展示が上の寛文美人図で、肉筆浮世絵が続きました。有名な「見返り美人」と同系統の立ち姿の絵もありましたし、歌川広重や北斎の美人図もありました。江戸時代以前は、天女や仙女を描くものはありましたが、同時代の女性をテーマに描いたものは寛文の時代に始まったのだそうです。その当時の最新のファッションに身を包む女性を描く作品は、肉筆画から始まって浮世絵版画へと広がっていったそうです。

浮世絵版画の工程の展示

2階の和室の会場では、明治時代以降の美人画でした。浮世絵師歌川国芳の流れを汲む鏑木清方、北野恒富、そしてその弟子たちへと続いていきます。

島成園 《舞妓》

こちらも初公開の作品で、さすが島成園という描写力で若い舞妓の少し不安げな表情を捉えています。浮世絵柄の着物も美しくて、島成園大好きですので見られて本当に良かったです。

上村松園 《雪女》

近松門左衛門の「雪女五枚羽子板」に登場する雪女です。雪の中で命を落とした女性が、恋人を謀略から救うために雪女となった姿を描いています。その仕草には女性らしさが滲み出ています。

「美人画」というものは、その姿や形の美しさだけではない、心映えの美しさもありますし、その着衣の美しさというものもあります。季節を先取りした柄の着物であるとか、その当時の流行の洋服であるとか、そういった美しさを身にまとう女性の姿を描いたものも多かったように思いました。
現代においても、人の美しさというのは姿形だけではないと思いますし、醸し出す雰囲気だとか、とても似合っている洋服であるとか、着眼点は様々です。今日の展覧会を見て、自分も(気を使っているつもりではありますが)季節を感じさせる洋服であったり、自分という人間を表現するような雰囲気を作り出せるファッションを考えていきたいと思いました。それが「美人」なのかなと。

嵐山の青空

嵐山のこの風景は、秋冬などに見ると「東山魁夷じゃん!」と思えるのですが今日の景色は山の輪郭がはっきとしていて、ちょっと東山魁夷とは違いました。

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