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没後60年 辻愛造 ー風景・風俗・挿絵ー
7月に入ってから毎日暑いですね。最寄駅から遠い美術館へ行くのが躊躇われる季節になりました。さて、西宮市大谷記念美術館で「没後60年 洋画家・辻愛造--風景・風俗・挿絵--」展を見ました(阪神香櫨園駅から歩いて5分くらい)。
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辻愛造(1895~1964)は大阪に生まれ、赤松麟作の主宰する画塾で洋画を学び、その後国画会会員になり亡くなるまで国展に出品を続けました。1928年に香櫨園洋画研究所を創立して、いまの西宮市大谷記念美術館のある場所の近くに居住するなど、西宮と縁の深い画家でもあるそうです。
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最初の展示室には風景画が展示されていて、その展示室だけ撮影が可能になっていました。油彩画の隣に写生旅行で描いたスケッチの複製が並べてあり、取材をしてから1,2年で作品を制作していることが多いのかなと思いました。
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辻愛造の風景画は、勢いのある筆勢で色を乗せていくような画風で、空にピンク色を置いたりもして割と好きな絵だと思いました。フォビスムっぽさもあるように思いました。
この人は静物画や人物画を描くことはあまりなく、風景画が好きだったそうです。写生旅行に行くことが多く、残されたスケッチは膨大な数だとか。
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今回見た風景画では、こちらの「塩津」が一番良いな、好きだなと思いました。画面中央に縦の線を作っている、漁船の帆がとても印象的です。
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(フライヤーより)
2つめの展示室は風俗画の部屋でした。辻愛造は大阪の古き良き風俗を愛し、描き続けました。こちらの「酒場」は油彩画ですが、木版で描かれた大阪の風景画シリーズや、晩年に描いたガラス絵のシリーズなどが面白かったです。木版の大阪の風景画は版木を彫ることから摺りまで自分で行ったそうで、大阪の街並みと歩く人びとなどを描いており、浮世絵っぽくもあると思いました。残念ながら戦火で版木が焼失し、シリーズは途中で終わってしまったのだそうです。
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(フライヤーより)
昭和30年代後半に手がけたガラス絵のシリーズでも、大阪の古き良き時代の風俗を描きました。ガラス絵は、前述の木版画とは違った色味があり、絵本のような雰囲気やノスタルジックな空気も感じさせられて面白かったです。
3つめの展示室では新聞小説の挿絵や、雑誌の挿絵(子供向けの雑誌が多かったです)、20歳前後の頃の回覧雑誌「鈴蘭」(同人誌のようなものだと思います)に載せたものなど、多彩な仕事をしていたことが分かりました。
辻愛造の風景画や挿絵などを見ながら、「なんとなくルオーを思い出させる画風だなあ。ルオーが見たくなるなあ。」などと考えていたら、なんと常設展示室でルオーの油彩画とエッチングの特集をしており、ちょっと驚きました。でも大好きなルオーをたくさん見られて嬉しかったです。(ルドンのエッチングも何枚かありました)
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辻愛造展は7月15日に終了し、8月からは毎年のお楽しみ「イタリアボローニャ国際絵本原画展」が始まります。
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