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日本画ことはじめ

西宮市大谷記念美術館で行われている「コレクション展 日本画ことはじめ」を見に行きました。

こちらの美術館は、実業家であった大谷竹次郎氏のコレクションの寄贈を受けて開館した美術館で、開館後に収集したものも含めて約150点ほどの日本画を所蔵しているそうです。

自慢の庭園を一望できるロビー

展覧会のタイトルが「日本画ことはじめ」とあるように、日本画をあまり見慣れていない方や小中学生の授業などで使えるような「鑑賞ガイド」を受付でいただけました。美術館の紹介から、絵画の見方についての易しい解説が書かれています。今回の展示は、コーナーごとに書かれている解説(作家どうしの関係性や、当時の日本の状況についてなど)が非常に詳しくて、鑑賞するための助けになったと思います。

鑑賞ガイド表紙
(表紙・作品リストを除き6ページ)

今日は平日で、開館後30分くらいに到着しましたので、美術館の中には(おそらく)近隣の小学校のお子さんたちが先生と一緒に鑑賞の学習をしていて少し賑やかな空気でした。私自身は東北地方の出身で、学校で美術館の見学に行けるような地域ではありませんでしたので、こんな風に担任の先生と楽しそうに鑑賞の仕方を教えてもらっている様子を見ると羨ましく感じます。

北野恒富 「春餘」(絵ハガキより)

最初の展示室には大谷コレクションから、江戸時代に描かれた作品(歌川豊清、渡辺南岳、勝部如春斎など)が、第二展示室では日本画を描いた画家にスポットを当てて、彼らの関係性(師弟関係や美術団体など)についての詳しい解説を読みながら見ていくようになっていました。横山大観と菱田春草、橋本雅邦と川合玉堂、といった感じです。

福田平八郎 「竹」(絵ハガキより)

第三展示室では日本画の画題に着目して見ていきます。風景や美人画、歴史・説話など。戦争の足音のする時代に描かれた「日本」を象徴する画題(桜や富士山など)が好まれたことの説明があり、それが国民の心を一つにするための考え方だったことも書かれ、横山大観と堂本印象の作品が紹介されていました。当時の状況を知った上で作品を鑑賞することの重要性がよく分かる内容だと思いました。
そして第四展示室は大正時代以降の、新しい表現技法を試みた画家たちの作品が並んでいました。フランスへ留学してフォーヴィスムやキュビスムの影響を受けた山下摩起、主題の簡略化により装飾的な作風を気付いた福田平八郎、そして紙粘土で画面の盛り上がりを作った下村良之助などの作品を見ました。春に大阪中之島美術館で福田平八郎の展覧会を見るのを楽しみにしているので、ちょっと予習のような感じになりました。

庭園にて 蝋梅

鑑賞後は庭園を1周しました。ちょっと寒かったですが、蝋梅が咲いていましたし、下の写真は梅でしょうか?桃かな?開き始めていました。

庭園には本永定正や津高和一、岡本太郎などの立体作品が展示されています。水琴窟もあって、可愛らしい音を楽しむこともできます。素晴らしい日本画を見た後は、ぜひ美術館の周りを一周してキョロキョロと立体作品やお花を探してみて下さい。庭園、とてもおすすめです。
(市内に住む者として、友の会があれば絶対に入会したい美術館です。)

岡本太郎 「午後の日」

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