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鉄斎 日本一の文人画家
大阪の高石市にある小林美術館へ行き、特別展「鉄斎 日本一の文人画家」を見ました。小林美術館には初めて行きました。なんばから南海本線に乗り、羽衣駅で降りて5,6分くらい歩きました。
平成28年に開館したという比較的新しい美術館で、館長の小林氏が「地元のお子さんたちに絵画に触れる機会を作りたい」という気持ちで設立したという、展示室が2室のこじんまりとした美術館でした。1階にはショップや絵画喫茶「羽衣珈琲」、入館受付があり、エレベーターで3階から見るように案内されました。
今年は没後100年ということで富岡鉄斎イヤーでした。春にはMOMAKと大和文華館の鉄斎展を見に行きました(MOMAKには2回行った)。鉄斎の描いたものはもちろん、文人であるという誇りや信念、そして人柄に心惹かれて作品をたくさん見たいと思い、あちこち見て回りました。今年最後の鉄斎は、ここ小林美術館さんです。
こちらの美術館のすごいところは、ガラスケースなどには入れずに展示していて、とても間近に作品を眺められるところだと思います。これ以上近付いてはいけないヒモが足元に張ってはありますが、それでも「こんなに近くで作品を見られるなんて!」と感激するほどの近さです。基本的に展示室内の撮影は禁止で、カメラマークの付いた作品(館蔵品の一部)は撮影がOKでした。とてもありがたいです。
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下の方の橋を渡る人が可愛らしいです。この方が、訪ねてきたお友達でしょうか。庵にはすでに2人の人が見えているので、どちらかがお友達なのかもしれませんが。
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鉄斎は神社で神職をしていたことは有名ですが、仏教の経典にも詳しかったそうです。白衣観音の表情がなんともいえず良いなあと思いました。
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(絵ハガキより)
今回の展覧会で私が一番気に入ったのは上の「七福遊戯図」です。たとえ博打であっても、何もしないよりは全然マシで、何らかの自分の糧になるよ、七福神でさえも博打で遊んでるよ、というような意味の絵だそうです。手前の2人が博打で遊んでいるのです。
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上の2枚は二曲一双の金屏風で、伊藤博文が1908年に揮毫した作品で、その詩意に添うようにと依頼されて描いたのが鉄斎の画なのだそうです。伊藤は揮毫した翌年に暗殺されて、鉄斎が作品を依頼されたのはその後だったようで、鉄斎もそのことを踏まえて普段は描かない金屏風に筆をとったのではないか、というような解説が書かれていました。
鉄斎の描く山は雄大でのびのびとしていて良いですよね。
2階は季節展「四季の万華鏡」で、館蔵品の展示や現在活躍しているアーティストのピックアップ展示などをされていました。ヨシ・シスレー、九鬼広子、山田宗輔がピックアップアーティストとして紹介されており、私は山田宗輔の《日向留まり》に一番心惹かれました。
こちらの美術館には文化勲章受章作家の作品を収集しているそうで、今回の展示には堂本印象と川合玉堂の作品が展示されていました。
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1階のショップで、今回の展示作品のポストカードないかなーと探したら、「オリジナル絵はがき10枚入り 鉄斎 日本一の文人画家」が700円で販売されていて購入しました。図録がわり、みたいな感じでしょうか。
次回特別展のチラシもいただけて、チラシに書かれている「ウタノチカラ・念仏コンサート」というものが何なのか気になりました。学芸員さんの展示解説や、講演なども数多くやっているようです。また行ってみたいですね。
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