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徳川美術館展 尾張徳川家の至宝

大阪の天王寺にあるあべのハルカス美術館にて行われている「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」を見に行きました。

徳川美術館は名古屋市にある美術館で、尾張徳川家に伝えられた大名道具を有する美術館です。家康の遺品をはじめ、歴代当主やその夫人の遺愛品など一万件あまりの収蔵品があるそうです。国宝の源氏物語絵巻も有名です。

実は徳川美術館には、去年どうしても大蒔絵展が見たくて名古屋まで見に行ったのです。その時は大蒔絵展がメインのつもりで行きましたが、美術館のつくりが、まず常設展を見てから特別展を見るような動線になっていましたので常設展をたっぷりと見て回り、「なんという贅沢なものばかりあるんだ」と感心したのです。今回のハルカスでの展示も、どんなにすごいものが見られるか楽しみにしていました。↓去年の記事

あべのハルカス美術館チケット売り場の看板
美術館入口

今回の展覧会は3章仕立てになっていて、第1章は「尚武 もののふの備え」ということで最初に徳川家康画像(東照大権現像)が展示されており、それに続いて尾張徳川家に伝わる具足や刀剣などが並びます。

徳川家康画像(東照大権現像) 伝狩野探幽筆
絵ハガキより

第2章は「清雅--茶・能・香--」で、茶席に用いられたであろう趣のある書画や茶道具、能面や衣装、香木や香炉などの香の道具が見られました。
藤原伊行筆「戊辰切 和漢朗詠集上巻 晩夏」と一休宗純筆の「雨中漁舟図」が並び、茶道具にしても香道の道具にしても、いちいち贅沢な蒔絵が施してあったり細工が施してあり、どれをとっても素晴らしかったです。

重要文化財 織部筒茶碗 銘 冬枯 桃山時代
絵ハガキより

第3章は「求美」ということで、尾張家に嫁いできた方々の持参したお道具類や、お家に伝わる宸筆の書跡や屏風類です。このコーナーがもう本当に贅沢オブ贅沢という内容で、嫁入り道具の三面盤(碁盤、双六盤、将棋盤)というものがあるなんて知りませんでした。尾張家11代斉温継室の俊恭院福君という方のものですが、菊折枝蒔絵がそれぞれに施されていて、それはもう使うのも勿体ないようなものでした。←貧乏くさい感想ですみません
百人一首かるた附 籬に菊蒔絵箱 というものも面白くて、上の句の札も下の句の札も美しい文字で書かれていて、それらを収納する箱がまた美しい蒔絵の箱という。そして、このかるたの展示は多分大河「光る君へ」に登場する歌人のものをピックアップして並べていたのかなと思います。紫式部、清少納言、儀同三司の母、道綱の母、赤染衛門などの名前が見えました。

そして今回の目玉でもある国宝「初音の調度」と「源氏物語絵巻」のコーナーが最後にありました。初音の調度とは、尾張家2代光友正室である千代姫の嫁入り道具で、源氏物語の初音の帖の絵柄の蒔絵が施されている見事な道具類です。その中から、「初音蒔絵旅櫛箱」が展示されていました。旅櫛箱は旅行用の化粧箱のようなものです。「年月を松にひかれてふる人に今日鶯の初音きかせよ」(明石の君の歌ですね)の歌意を全体の意匠とし、その歌の文字を葦手書きに散らしています。登場人物のいない留守模様になっています。
源氏物語絵巻は4期にわけて宇治の部分を見られるようになっており、今日は早蕨を見られるようになっていました。宇治の中の君が匂宮のところへ移る準備をする場面ですね。↓美術館のサイトに絵がありました。几帳の奥の緑色の衣装を着ている女性が中の君です。

豪華絢爛なお道具類を見て本当に眼福も極まれり、ではありましたが、去年徳川美術館に行き、そこで見た印象がとても強かったせいもあって、やはり実際に徳川美術館で見る雰囲気の方が贅沢感が増していて良かったかなと思いました。また行きたくなってしまいました。

あべのハルカスからの眺め

会期は6月23日までで、源氏物語絵巻の早蕨は5月26日まで、宿木(三)は6月9日まで、東屋(二)が会期最終日までです。

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