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文化勲章三代の系譜

ひとり旅2日目は、本当は寺社巡りの続きをしたいと思っていたのですが大雨のため予定を変更して美術館へ行くことにしました。
前から行きたいと思っていた、松伯美術館です。近鉄奈良線の学園前駅からバスに乗り換えて大渕橋停留所で降り、橋を渡るとすぐ右側に見えてきます。

美術館入口看板

こちらの美術館は、上村松園・松篁・淳之三代にわたる作品、草稿、写生等、美術資料の収集と保管、展示を通じ、三代の画業を紹介することを目的とした館で、今年で開館30年を迎えたということで記念の特別展を開催しています。上村松園の孫である淳之さんが文化勲章を受章され、親子孫三代で文化勲章を受章された栄誉を記念した展覧会「文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之展」です。
公式サイトの紹介によると、京都と日本橋の高島屋で開催された同名の展覧会と展示の内容が異なるようです。

上村松園「静」(フライヤーより)

館内の撮影は禁止されていますので、印刷物から画像を拝借してご紹介します。上村松園はご紹介するまでもなく大変な功績を残した著名な日本画家で、特に美人画の分野で活躍しました。
松園は静御前をモデルに何枚か描いていて、描くためのスケッチが何枚も展示されていて舞う姿や座る姿など、とてもこだわりを持って描いていたことが分かります。今回展示されていた「静」は舞う直前と思われる、今にも立ち上がりそうな姿を描いており彼女の強い意志や、迷いのない表情が伝わってくるような作品だと感じました。
こちらの美術館では、完成作品だけではなく、その作品を描くための素描や下絵がたくさん展示されていて、それを見ると画家がどこにこだわったのか、どんな工夫をしたのかが分かって面白かったです。

上村松篁「熱帯花鳥」(絵ハガキより)

上村松篁は松園の息子で、花鳥画で素晴らしい作品をたくさん残しました。この方のスケッチも展示されていて、それがとても細かい観察によるスケッチで、この方が母と同じ人物画の方向に進まなかったのはきっと関心の方向が明らかに違っていたからだろうと思いました。
私はこちらの「熱帯花鳥」が素敵だと思い絵ハガキを購入しましたが、どの花鳥画も空間の取り方や構図が個性的で美しく透明感がありました。

上村淳之「秋映」(絵ハガキより)

そして上村淳之も花鳥画で、こちらで拝見するまでは松篁さんと淳之さんの絵は似ていると思っていたのが、あらためてじっくりと鑑賞してみて、表現方法の新しさというか、より個性の立った印象的な表現をされているのだと思いました。すっかり淳之さんのファンになり、米寿記念のトートバッグも購入しました。880円でお手頃な価格なのに「水辺の四季」のポストカードがついていて、バッグはしっかりした生地で美術館巡りのサブバッグとして持ち歩けるようなものです(A4の紙資料が入ります)。

そして2件目は入江泰吉記念奈良市写真美術館です。こちらに入館する時には雨がすっかりあがっていて、このまま晴れれば良いな、などと思いながら入館しました。

入江泰吉記念奈良市写真美術館

入江泰吉は昭和の時代に奈良の風景を撮影した作品を多く残した写真家で、東大寺の西隣あたりに旧居があって見学できるようになっています。
この入江泰吉の「塔のある風景」と、Ahn Junの「重力へ」という展覧会を見ました。

美術館入口にて

こちらの美術館を一回り見て、さて、出ようかと思って外を見ると大雨が降り始めており、カフェで一休みしたりしましたが降りやまず、その後は興福寺で阿修羅さんを見ようなどと思っていたのを諦めて、バスに乗りそのままホテルに戻り、この日の観光は終了しました。

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