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あんた、ホンマに「赤が好き」なんか?

吉村千奈の『赤が好き』(2017)が、株式会社ワコールが運営する町家宿泊施設「京の温所・御幸町夷川」に展示されている。

それも<床の間>というのがオモシロい。

床の間=虎とか鶴とか頭が長い仙人のような人の絵の掛け軸という規定値からかけ離れて『赤が好き』。

さすがは「ダブディビ・デザイン」柊さんのセンスだ(お誘いありがとうございました!)。

2007年4月、公的補助の交付すら決まっていなかった無認可完全自力運営福祉施設に、特別支援学校を卒業した千奈は「スウィングが好き」という理由だけでやって来た。

利用者、スタッフ合わせて十余名のオリジナルメンバーがはじめて迎え入れる、スウィングをメチャクチャ好きになってくれた新しい人。

嬉しかった。(まあよく泣くのだが)堪えきれず涙した、その場所や状況までよく覚えている。

『赤が好き』は赤系色のカッティングシートを細かに切って、丁寧に一枚一枚貼り付けて描かれている。

不規則な形のハートたちが可愛く、そのタイトルから察するに「好き」という気持ちがバリバリの原動力になったようだ。

(絵じゃないんだけど)いい絵だなあ、好きが溢れとんなあ……とひさしぶりに眺めているとどうも違和感がある。


……『赤が好き』? ……ホンマか?


赤が好きで、その「好き」を表すためにハート描く? いや、普通ないな~い。なんかおかし~。

これ、「赤が好き」じゃなくって「ハートが好き」で、そっちの「好き」を爆発させて描いたら、こういう感じになったっちゅ~ことじゃない?

だから『ハートが好き』っちゅ~のが本来のタイトルっちゅ~ことじゃない?

そんな疑問をクソ忙しそうな西川君にぶつけてみたら「その疑問はずっと持ってました」ってウソ!?

これ2017年作だから6年前から? 疑問あたためすぎちゃう? 『疑問あたためるのが好き』(西川雅哉/2017)?

千奈に真相を聞いたらややこしそうだから聞かないけど、モヤモヤが少し晴れて僕はスッキリした。

でもたぶん千奈は赤もハートも同じくらい好きなんだと思う。そもそもがタイトルとかどうでもいい人やからな(なんのこっちゃ)。

ともかく2007年から16年という月日が経った今も、数え切れぬ有形無形の喜怒哀楽と共に在る今も、千奈が毎日ご機嫌にスウィングを遊んでいることが嬉しい。

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♡京の温所アート展示・第3弾に吉村千奈作品登場!

株式会社ワコールが運営する町家宿泊施設のひとつ「京の温所・御幸町夷川」にて、「ダブディビ・デザイン」セレクトによる展示がスタート。 スウィングより吉村千奈の『赤が好き』(2017)が<床の間>に展示されています。

♡期間:2023年4月27日~ 2023年8月25日(予定)
♡企画:株式会社ダブディビ・デザイン/株式会社ワコール

基本的には宿泊予約のお客様しかご覧いただけませんが、一般の方もご覧いただけるオープンデイも実施されます。詳しくは下記ブログをご覧ください。

♡ダブディビ・デザイン ブログ
https://www.kyo-ondokoro.kyoto/blog/03-ondokoro-gokomachi/post-117.html

♡京の温所 ブログ
https://www.kyo-ondokoro.kyoto/blog/03-ondokoro-gokomachi/post-117.html

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