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私のなかの中2 -入院生活の心得

きっと誰にもあるんじゃないでしょうか。

年齢や経験を重ね、何がホントで何が嘘なのかが少しずつ分かってきても、拭いきれないアレが。中2的な恥ずかしいアレが。

たとえば僕は吉田聡という漫画家の古い作品が好きで、何が好きって、とにかく恋とか汗とか友情とか生きるとかが青くて熱い。中1か中2の頃に出会って、いまだ手放せずに繰り返し読んで、心を熱くしては枕を濡らして泣いています。

『湘南爆走族』ならばだいぶ恥ずかしいけれど、僕が好きなのは『スローニン』というあまり知られていない漫画だからちょっとセーフって、この気持ちはなんなんでしょう? 同じ中1か中2頃出発でも「ブルーハーツが好き」って、さほど恥ずかしくないのはなぜなんでしょう? 

とりわけ子どもの頃からでも、中2からでも、大人が好きでも恥ずかしくないやつの筆頭に「絵本」がありますが、なぜなんでしょう? なんで? 絵本ずるい。僕も枕元に大切な数冊を置いてますが。

「村上春樹が好き」は声がちいちゃくなってしまうくらい言いづらく恥ずかしく、勇気が必要です。やはり中1か中2の頃に出会って、苦しくて死にそうな時にモーレツに救われて、それを言い訳に今も読み続けています。

(好きだから)毎度「メタファー」ってめっちゃ使うのも知っています。毎度孤独な男が素敵な女性と出会ってセックスをして、まあいろいろあって再生するのも知ってます。そんな話を読みながら気持ちいい感じになってる気持ち悪い自分も知っています。「村上春樹を好きな人たちとは一緒にしないで欲しい。できれば村上春樹を好きな人には会いたくない」と願う自己矛盾も知っています。

世界中の人たちの恥ずかしいやつが知りたいなあ。ひた隠しにしてる恥ずかしいやつが欲しいなあ。自分のなかの中2に頬を赤らめ、恥ずかしがっている姿を見たいなあ。

入院生活の慰めにと、村上春樹の小説と漫☆画太郎先生の『くそまん』を持ってきました。たぶんテレビは見ないので、Qさんの詩をいつでも見られるようにしました。

ハルキワールドに引っ張られてしまう自分を知っているので、これでなんとか心のバランスを保ち、自分を見失わずに済むはずです。



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