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第187回ゴミコロリ

2008年より続くスウィングの地元、京都・上賀茂に根ざした清掃活動「ゴミコロリ」。

その実施方針を今年度より大きく変更した。
変更の要因は上賀茂における深刻なゴミ不足である。

コロナ禍や、畑が宅地やマンションや駐車場へと加速度的に変わりゆく開発の影響も大きいと思う。

けれど鴨川(賀茂川)からホームレスの人たちの姿がすっかり消えてしまったように、売るのは絶対にやめないくせに批判され、価格も上がり続けるタバコのように、つまり世界からあらゆる余白やバグが消え去りつつあるのと同じように、行き過ぎた清潔志向や<排除>の影を見てしまうのは僕だけだろうか?

だから「ゴミが減るのはいいことだ」なんて簡単には言えない……とかなんとか理屈は止まらないが、ともかく毎月毎月困ることのなかった、お陰でブーブー上から文句を垂れられて、しかも満足感も得られていたゴミコロリに絶対必要不可欠なゴミが急速になくなってしまったのだ。

実際ゴミがなければゴミコロリは無用の長物と化してしまうのだから、スウィングにとっては深刻な問題なのである。

さあ柔軟に考えよう。いつだって<普通>や<常識>や<これまでは……>を疑い、更新し続けよう。

ゴミが欲しければまだあるところに行けばいいじゃないか。地元を上賀茂と決めつける必要もないじゃないか。地元は京都だ、日本だ、アジアだ、北半球だ、地球だ、太陽系だと考えればもう可能性しかないやんけ。

太陽系まで意識をトバした上で落ち着いた着地点が、ゴミコロリのグループを上賀茂の<内>と<外>とに分けること。

これまで続けてきた上賀茂での活動を大切にしつつ、ゴミを求めて<外>へと飛び出そうぜというアイデアである。

とりあえずの<外>は京都市内限定とし、前回「第186回」は名刹・嵐山へと向かったが、一過性のイベントではなく景色として認識されるためにはある程度のしつこさ、つまり連続性が必要不可欠。

だから3ヶ月は同じエリアでの活動を続けようと心に決めていたのだが、、、なんとなんと上賀茂と同じく嵐山にもゴミがほとんどないんである。

なるほど、その理由の一端をこのニュースに見ることができる。

★『祇園の惨状』 ごみだらけの「京都」がネットで話題 政令市最多のごみ箱300基でも追いつかず 観光税・宿泊税で対応すべきかhttps://www.fnn.jp/articles/-/696719?display=full

すぐにでも祇園に行きたい気分だが、せめてもう1回は状況を自分たちの目で確かめ、そして景色にならないとね。

前回に続きゴミブルー3名(中身:あちゃみ・木ノ戸・西)+コロリンQ(中身:Q)の布陣で向かった5月15日(水)、名刹・嵐山の人だかりは外国人観光客以上にNIPPONの修学旅行生たちがその中心をなしていた。

埼玉、静岡、神奈川などなどから、恐らく300~400人くらいがワラワラといたんじゃないかと思う(ただの勘で、根拠らしい根拠はない)。

シャイな子、生意気な感じの子、いろいろだが子どもたちとの関わりは基本的に楽しい。

コチラ側の思惑を超えてすぐにゴミブルーという異物を受け入れ、「ゴミルーまた会ったやん。ハイこれ、ゴミ」みたいな感じで、ほとんど友達化してしまうツワモノ中学生の出現には僕たちの方がざわついたりした。

おいおい、ちょっとその超オープンマインドついていけねーよ。中身人間なんだからもうちょっと時間かけてよ。

ツワモノと言えば「絶対、来世はイルカ」と決めつけざるを得ない、ナチュラルに偏見ナシの徳が高すぎる人、通称:イルカマエビトに出会うことが稀にある。

ゴミブルー歴14年目。これまで数名しか出会ったことのないイルカマエビトに今回は一気に2人も出会ってしまった。

イルカマエビト様は、それぞれ「この近くにトイレはないか?」「いちばん近いバス停はどこか?」と、青々しき者に普通に尋ねてこられたので、青々しき者もすっかり素に戻って普通に教えて差し上げると、ただ一言「ありがとう」とおっしゃられ、ひらりと去ってゆかれた。

人類の理想形はいかにも偉そうな場所ではなく、市井の人の内にごく普通にいらっしゃるのだ。

今年1月に開催した「第183回ゴミコロリ」において、コロリンQの自己肯定感を爆上げする上賀茂の奇跡、『わたしもコロリンQになりたい ~少女が決めた未来~』が起こったのは記憶に新しい。そしてコロリンQの快進撃は嵐山でも続く。

今回幾度となく繰り返された修学旅行生とのカラミの最中、「コロリンだって!」「コロリンQ、かわいくない?」といった異次元からの嬌声が、少なくとも2名の女子中学生から上がったのだ。

個人的にはずっと可愛いと思ってきたが、初見の、こんな若い世代から発せられた「コロリンQ、カワイくない?」。

またしてもコロリンQの顔面がデへへへと崩壊し、自己肯定感が更に爆上げされたのは言うまでもない。

ゴミはやはり、とっても少なかった。

あるお店の店員さんの情報によると、スマートゴミ箱に加えて各店舗にゴミ箱が設置されており、また人力車の俥夫たちが毎朝ボランティアでゴミ拾いをしているらしい。

やはり個人個人の意識変革といった曖昧なものではなく、必要なのは状況に即したシステム変更である。

ゴミのない、綺麗な嵐山にしばらく行くことはないかもしれない。

そろそろ終わろうかと帰路につきかけた最終盤、ちゃみブルーが名刺を手渡した、渡月橋のたもとにあるお店の人の顔色がパッと変わった。なんと彼女がわざわざお店の奥から持ってきてくれた名刺ホルダーには、ちゃみブルーの名刺が既に収められていたのだ。ゴミブルーのも数枚……。

ちょっと面倒だから調べはしないけど、これまでも嵐山には何回かプチコロリ(=プチゴミコロリの略。2012年にスタートし、本年3月、105回をもって活動終了)で訪れている。そのときに渡した名刺を残しておいてくれたのだろう。これには一同大感激し、また大感激された。

青くてダサいヒーローの存在は、嵐山においても少しは景色化されているのかもしれない。さあ、次回はどこへ行こう? 

町に溢るるゴミある限り、我らの戦い終わりなし。
拾うはゴミでも心は錦、見た目は青でも心は真っ赤。
嗚呼、さすらいのゴミ野郎、嗚呼、我らゴミコロレンジャー!

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