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マジ医者コワイ記録 其ノ壱

なかなかシビアな状況が続いており、書くことはほとんど治療の一貫のように感じています。集中し能動的に書いている時間は最も痛みや不安を和らげてくれます。映画をみるよりラジオを聴くより本を読むよりも効果的に。

これまで医者という存在に対して、説明をしてくれない、話を聴いてくれない、ついでに言えば病院という閉鎖空間の中で「権威」と化してしまったその振る舞いに不信感を持つことは数多くありました。

その反対のような、普通の会話ができる、(中には居酒屋で隣合わせたような)安心できる医者も大勢います。が、今回はなかなかそうもいかず、僕や傍で僕を支えてくれている人たちにとっては厳しい日々を送ってきました。

肉体的にもそうですが、精神的に相当キツかったです。

これから書く文章は、この間もっともっと深刻な思いで書いた日記のような、治療記録のようなものをベースにしています。

あくまで主観による文章ですが、こういうこと、そこら中でいっぱい起こってるんだろうなあと想像します。

治ることや良い治療ももちろんですが、僕たちが願ったのは丁寧に診て欲しい、説明して欲しい、話を聴いて欲しい、この3つです。しかしこんな普通のことを切実に願わなければいけないなんて……という思いで書きました。

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右足膝下に大ケガをしたのが4月3日日曜日。それから6日後の9日土曜日。パートナーと共にいつも通院に同行してくれる沼田君は言った。

「ようやく治療がはじまった感じがしますね」

同感。泣きそう。

感謝はしているけれど、この間ずっと医者に困り続けてきた。

事故後、救急車の中では足の切断をも覚悟し、だからこそ冷静さを保つことができた。けれど搬送先(滋賀)の医師による案外と簡単だった手術に「なんだ。そこまでじゃなかったのか」と少し気を緩めて安心。これを安心1と呼ぶ。

痛みより罪悪感に涙する夜を超え、京都で回復に向けての治療を翌4日にスタートしたら「抜糸まで2週間。でも早い人だと1週間」と、あまりにあっけない治療に「なんだ。大したことなかったのか」とまた少し気を緩めて安心。これを安心2と呼ぶ。

けれどそのZ医師。痛くて仕方ないのにお薬出すのを忘れ、ガーゼからは傷口がはみ出したりしている。「2日に1回通院を」と指示しながら次の予約は3日後だし、何より気をつけるべきことや自宅でのケアの仕方だとか、こちらから尋ねないと何も教えてくれないのがとにかく困る。

その日はまあ良かったんだけど、次の日になると明らかに右足が腫れて、膝下が1.5倍くらいになっている。熱も上がってきたし、だいじょうぶか? これ……。

昔は腕のいい医師だったのかもしれないがZ医師では危ない。とにかく病院を変わったほうがいいようだ。ケガの程度から毎日の通院を想定し、近くの病院を選んでしまった自分を呪う。

安心1と2が音を立てて揺らぎはじめる。

……こういうことにも、紹介状ひとつ書いてもらうのにも、プライドの高い医師には相当気をつかう。なんで日本じゃ、こんなに医師が偉いんだろう。

翌6日午前。右足はさらに腫れて赤くなっている。Z医師は明らかに不快な表情を浮かべながらも紹介状を書いてくれたけど、僕の希望するところは「予約が取れない、治療がずいぶん先になる」と親切に、でも電話1本かけずに判断し、自分のよく知る病院を紹介してくださる。

幸い近くて悪くないと思えるところだったので同意をしたが……ががが、行けるのはその日じゃなく明日らしい。なんなんだこの紹介状システムとかいうやつは。まあ丸1日待つしかないか。

ちなみに「こんなに腫れて感染症じゃないのか?」と尋ねたところ、Z医師の答えは「そうなる可能性もあり得る」。何それ? 呆けた政治家? 今は違うけど30分後は分からないってこと? ともかく今までお世話になりました。付記。Z医師、この日も処方箋発行を忘れる。

しかし帰宅してからも状況は悪化の一途。不安と腫れと痛みと熱に苦しみながら過ごす1日はやっぱり長すぎる。

思い立って感染症っぽいんだけど……と友人の看護師に相談すると、緊迫した様子で「やばいんじゃないの?」と具体的なアドバイスを与えてくれる。パートナーは故郷(時差15時間)の友人看護師に状況を説明、同じように客観的な情報と疑問の数々がもたらされる。

このとき安心1と2が完全に吹き飛ぶ。

2回も安心してしまった分、ショックも大きい。

ともかくZ医師の紹介状は無視し、めぼしい別の病院に電話を入れて相談する。すると「紹介状はなくていいので来てください」。よかった。そしてありがとう、沼田君。こんな急な展開にもまた車を出してくれて。

まだケガから4日目って本当だろうか?
一日一日が1週間くらいに感じられる。。。

(つづく)

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