京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」@善し悪しワカラン嵐山編
光陰矢の如し。月日の経つのがゲロゲロに早い。
秋雨前線? 早すぎない? と思ったが、もういつの間にかお盆なのか。
最近は「15年間、本当によくがんばってきたね!」を自分への合言葉に積極的に休みを取るようにしているし、コロナ禍の状況はコロコロ変わるので時間感覚が少々おかしくなっているのもあるだろう。
でもチョベリバ早い。
こないだやったはずの京都人力交通案内が、もう半月以上前になるなんて信じられぬ。
そしてその日から「今日やることリスト」のいちばん上にあったレポートを今書こうとしているのは、いったい何を意味しているのだろうか。「今日やることリスト」の存在意義が激しく問われている気がする。
折に触れ登場させちゃう藤子・F・不二雄先生のSF短編に『光陰』という作品がある。
初老の登場人物たちが「月日が経つのが早いよね~」と語り合うのは現実社会と同じなのだが、その作品世界のなかでは事実、物理的な時間の流れが早くなっていることが判明し、デラ驚くという内容だ。
……こういうのをネタバレと言うのだろうが、そんなことって本当にあるのかもしれないと思わせるのがF先生のスゴいところだし、そのちょっと怖いような気持ちは10歳の頃から僕の心のどこかに住み続け、年を追うごとにその実感は増しているようだ。
ところでこれも繰り返しのアナウンスになりますが、藤子・F・不二雄SF全短編は「スウィング公共図書館」の蔵書となります。
そして昨日、長時間に及んだ大づめミーティングの結果、ようやくようやく9月1日オープンが決定いたしました。
でも相変わらず先の読めない社会状況。間もなく京都にも4度目の緊急事態宣言が出されそうですし、オープン時期をさらに延期する可能性もあります。ので、各種SNSでの広報をチェックしてくださいね! ちぇき!
……ちぇき! と言えば17日(火)から開催する『Swing,布と紙と絵で遊ぶ』展にチェキ的インスタントカメラが登場します。
どう使われるのかはお楽しみ! ぜひぜひご来場くださいませ。
★2021.08.06 Friday ブログ『Swingy days』
展覧会:Swing, 布と紙と絵で遊ぶ -モノづくりの空間<coco de emo nu>からこんにちは!-
なぜか京都市バスの路線・系統を(ほぼ)丸暗記しているQ&XLのヘンタイ記憶を駆使し、観光客やお困りの方にベストな行き方、乗り継ぎをご案内する京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」。
前置きが長くなったが、ここからは去る7月25日(日)、具体的な温度は忘れたけどとにかくすんげー猛暑のなか出動した、69回目の京都人力交通案内の模様をお送りする。
コロナ禍は収束の気配すら見せず(と言うかこれからも付き合い続けてゆくものだと思う)、相変わらず京都の観光客も激減したままだ。
でも約1年ぶりに美馬君(デザイン・スチール撮影)も合流し、最近スウィングによく来て下さるNHKの取材クルーも同行。だから何とか案内しがいのあるところを見つけたかったのだが、我々の経験則から「あそこならもしかして……」と思えたのは古都の名刹・嵐山のみであった。
嵐山は昨年3月、コロナ禍の訪れによって人気のなくなった京都でもほとんど唯一(善し悪しは測りようがないが)人波が途切れていなかった観光地である(スウィング調べ)。
そこにはオールジャパニーズヤングメンしかいなかったが、嵐山が寺や神社でなく「すんげー大きな外」だからこそ、あまり心理的な負担を感じることなく、また感染リスクの観点からも来やすい場所なんだと思う。
それでも緊急事態宣言などでお店が営業を自粛するとガラガラになる。
昨年6月はほとんど人がいなかったし、9月はそこそこの人がいた。そして今年2月はダメだった。
でも何となく今のタイミングなら、お店さえやっていればニーズ0ではないような気がする。
前回の四条河原町は、人は多かったが案内はほぼ不要だった。だって皆さん、街に買い物に出てきて家に帰るだけだったから。つまり京都の人ばっかりだったから。
その前は偶然にも「梅花祭」と合格祈願の時期と重なった学問の神様・北野天満宮で、予想外の大勢の人たちと出会うことができた(その様子も含めた映像作品が絶賛開催中の「ルール?展」で展示中です!)。
……あれ? 北野天満宮??
ガラガラの金閣寺を通り過ぎ、いざ嵐山に向かわんとしていたちょうどそのとき、あることに気づいたのはXLだ。
「今日25日? 『天神さん』ちゃう??」
「天神さん」というのは毎月25日に北野天満宮で催される縁日のこと。露店がたくさん立ち並び、大勢の人で賑わう。
(善し悪しは測りようがないが)もしこの状況下でもやっているならば、そこそこの人波があるに違いない。ナイスXL。行ってみよう!
行ってみたら縁日やってた。
めっちゃ賑やかでめっちゃ人いた。
警察まで出動してた。
バス停にも行列ができてた。
けれど既に別の、どっかの公認的なボランティアさんがいた。
だから即、諦めた。
いやあ天神さん、マジですごい。しかしコロナは別としても、そもそもあんな人混みのなかに行きたいっていう人の気持ちが分からない。
でも人混みが好きな人っているんだろうし、そういうタイプの人にとってあらためてコロナ禍はキツいんだろうな。
北野天満宮から車を走らせること、およそ20分。
紆余曲折あって辿り着いた嵐山には(善し悪しは測りようがないが)想像以上の人たちがいて、バス停にもある程度人が並んでいる。
よし、やろう!
開始早々僕が嬉しかったのは、いちばん最初にご案内した方たちが外国人であったこと。
なんとまあ久しぶりのこの感覚。恐らく2020年2月以来だから1年半振りになるだろうか。
ちゃんと口から「オーイエー、オーイエー」出てきて安心した。
その後は日本人のニーズしかなかったが、次々にやりがいのある案内を繰り出すことができ、美馬君デザインの案内用紙にもガシガシ記入することができた。これも懐かしい、久しぶりの感覚だ。
日本人は<我々からアプローチしないとはじまらない>ことがほとんどなので、スマホを見つめていたり、バス停の時刻表を眺めている人を見つけたらどんどん話しかける。
ところで我々が陣取ったバス停(三条通北側)には町中の混雑緩和のために京都市営バス(=京都市バス)が一切来ず、京都市営バスとは異なる「京都バス」しか停まらない。
これはもちろん休日限定、けれどQもXLも知らなかった事実である。
一方、三条通南側のバス停には平日同様「京都市営バス」もやって来る。
つまりとっても、色々とややこしい。
そのことをバス停設置の時刻表には「丸太町方面ご利用のお客様は嵐山西行バス停をご利用ください」と書いているのだが、「丸太町方面」も「嵐山西行バス停」も観光客にはなんのこっちゃ分からないだろう。きっと丸太町ってどこ? 西ってどっち? ってなっちゃう。
プロの素人である我々ですら、素人のプロである我々が陣取った北側のバス停が「嵐山東行バス停」と呼ばれているなんてはじめて知って混乱したんだから。
我々3人の位置取りも色々と工夫した。
当初は3人がバラけて立っていたのだが、小さなバス停に爽やかな男たちが3人いるという威圧感に、NHKのカメラやマイクの存在感が輪をかける。美馬君もつかず離れず写真を撮っている。
撮影というのは暴力的だ。もちろんクルーの態度も撮影もとても丁寧なのだが、でも人によっては「撮影中に横切ってしまって申し訳ございません」的なお辞儀をしながら通り過ぎたりする。
僕ならば仮に、とあるバス停で自分にカメラが向けられているとしたら「何撮ってんねん」と一発NGをかますかもしれない。分からないが、そうでなくとも「なんの撮影ですか?」と聞くのは絶対だと思う。
ともあれ撮影という行為が発する威圧感……というか「今、優先的に大事なことやってます」みたいな雰囲気はどこから来るものなのだろう。
ともかく威圧感だらけではいけないので位置取りを修正し続ける。
最終的には暑さ対策も兼ねてバス停付近に立つのはひとり。他の2人はちょっとだけ離れたところに座って待機し、迷い人(行き方やバスの乗り継ぎが分からずに困っている人)が現れたら全員集合! というシステムを採用することになった。
実は撮影のあるなしに関わらず、<その時々の最適な位置取り>を模索するのは面白い。
同じバス停でも、本当に毎回毎回違う。そして答えがないにも関わらず、「これ!」というのが必ず見つかるのだ。
この気持ちをQ氏やXL氏と共有するのはちょっと難しいので、「確かにそうですね」と聞いてくれる美馬君の存在がありがたい。
先にも書いた通り、今回は「京都市営バス」の案内ではなく、別の路線バスである「京都バス」のご案内をすることとなった。
つまりQ&XLは京都市営バスだけでなく、京都バスも結構いける口なんである。
でも京都市営バスであろうが京都バスであろうが、2人が完全無欠というわけではない。僕なんてこんな仕事をしているにも関わらず、未だに何のこっちゃ全然分からない。
だからこそ「三人寄れば文殊の知恵」システムが重要で、各々がバラけてやってしまうと間違った案内をしてしまう可能性もある。
今回、XL氏が間違えそうになるとQ氏が「いや違う」と訂正し、その逆パターンもあった。そして多くの場合、2人の間に立って「いや違う」を引き出すのが僕の役割だ。
お互いを補完し合い、ナイスな案内を生み出すというこの仕事の真の醍醐味を思い出せた気がして嬉しかった。
まあとにっかく暑かったが、こんな風にこの仕事を楽しみ、充実した気持ちで終われたのは本当に久しぶりだ。
日本人ばかりへの案内にも慣れてきた気がするし、しばらくそれは続いてゆくのだろう。
僕としてはQ氏やXL氏が、外国人につられて「ニ~マルゴ~(205)」とか、雰囲気だけ英語っぽく言うアレを早く聞きたいのだが。
コロナ禍云々関わらず、8月の京都人力交通案内は(酷暑のため)そもそもお休みなので次回は9月27日(月)、京都のどこかに出没予定である。
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