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天井のG

いま天井にGがいる。

かれこれ2時間ほどのあいだに、それでも1mは動いたか。

今にも力尽きて落下しそうである。


彼は寒いのだ。

このところすっかり秋めいてしまって、もう夏の暑さは帰ってこない。

限界体温が保てないのか。


あまりにもふらふらな姿で神棚の上の天井を這うので、下敷きで受け止めようか、とも思うほどに、今にも落下しそうであった。


しかし彼は、この2時間ほどのあいだに、それでも何か大事な要件があるんだろう。よろよろと1mほど移動したのだ。

宇宙生物にしか思えないGを愛せるほど博愛でもないが、大事な要件は案外同じだろうな、くらいの「隣人」感はある。


聖書だかの「汝、隣人を愛せ」は、同胞的隣人のことではなく、異邦の隣人を愛せということだと知ったときは鱗の一つが目から落ちたが、それが、常に隣接する「隣人」と緊張感のある中東で生まれたと思うと、孤島の日本からは想像できないことが想像されて、想像が時空も超えてしまう。


とはいえ、Gには早々にどこへなりと姿を隠してほしいなと、どきどきしている。

まだいるし。



(や、いま転落した。やっぱり神棚にたぶん。)





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