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Graphic Pattern Series_1

[Graphic Pattern Series]

これは、作家としてはじめて発表したシリーズです。中世日本装飾画、琳派から影響を受けたグラフィック・アートです。グラフィティやフライヤー・アートなどの影響もあります。下絵をAdobeのイラストレータで作成します。それを木製パネルにアクリル絵の具でペイントするのですが、制作過程にデジタルとアナログの往復があるのが魅力の一つかなと思っています。

今、フライヤー・アートの影響を受けたと書きましたが、90後半〜00前半、音楽イベントなどの告知チラシである”フライヤー”のデザインが楽しい時期がありました。当時、そう思う人は多かったと思います。競うように作ってた。当時のフライヤーをコレクションしてる人も多いかも。

そのようなサブカルチャーにおけるフライヤー・シーンの中で、実はこのシリーズは育ちました。今ではアート担当メンバーとなっているバンド・DEEPCOUNTのフライヤーとして。

[DEEPCOUNTとフライヤー・アート]
2002年より、DEEPCOUNTのライブ告知として、主宰の桑原延享に依頼を受け、気合の入った当時の僕は、ギャラを頂く代わりに毎回、言葉のお題と、一枚10円のケナフ紙を自宅プリンターでインクジェット印刷するという、とても割に合わないフライヤー制作の仕方を要求しました。

しかし桑原はそれを快諾してくださり、それから2006年頃までの間「表に言葉、裏に絵」という、告知媒体というよりは、一つのアート表現としてフライヤーを作りました。

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↑画像左から、DEEPCOUNT×SAL最初のフライヤー、後年のフライヤー裏面、表面(2006)

予算的に100〜200枚くらいしかプリントできなかったと思いますが、しかしそのぶん評判も良かったように記憶しています。ケナフ紙という少し和紙っぽく吸水性のある紙をインクジェットでプリントしたのは、印刷では出せない少しの滲みが、デジタルデータである元絵をイメージ通りに表現してくれるからでした。

このグラフィック・パターン・シリーズは、壁画、装飾画として、当時より木製パネルや壁面にアクリル絵具で制作していましたが、デジタルからアナログへという制作過程が、どこかしらプリントにも必要だったのです。

ペラペラの印刷フライヤーとは違って存在感もあり、もしかしたら希少価値も手伝って、評判が上がったのかもしれません。しかし、このシリーズが成長できたのはDEEPCOUNTとの関係によるところが大きい。

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↑[IDentitiy]_1030×728mm_Acrylic+aerosol on wooden panel_2004

絵というと独りで描くものと思いがちですが(実際そうですが)、お金のためでなく、締め切りがあり、見てくれる大勢の顔が見え、そして何より言葉と音で着想を与え続けてくれる人間がいる、という状況があったこと。今にして思えば、それは大きな幸運でした。まさにバンドが寄り集まって力を出し合うような、互いの切磋琢磨で一人では超えられない壁を超えるような、そんな力が働いたように思います。

2006年、DEEPCOUNTの前身であるGambleのメンバーでもあったDJ KRUSHのアルバム・アートワークを担当させていただき、世界中の人の目に触れたこのシリーズは、作者的には完成しました。

そして、その後は、壁画を中心としたコミッション・ワークとして、このスタイルを完成形のまま維持しています。少しずつ時代の色は入り、今は立体にする方法を考えたりしていますが。

sal

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DJ KRUSH "STEPPING STONE THE Self Remixed Best"(2006)2枚組

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[Hagakure]_1455×1120mm_Acrylic+aerosol on wooden panel(ph_Daisuke Ishizaka_hatos, normalization)
DJ KRUSH "STEPPING STONE THE Self Remixed Best"(2枚組)のための原画

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[RAIN]_1455×1120mm_Acrylic+aerosol on wooden panel(ph_Daisuke Ishizaka_hatos, normalization)
DJ KRUSH "STEPPING STONE THE Self Remixed Best"(2枚組)のための原画

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ハイアット・ホテル(デュッセルドルフ)ボール・ルームのコミッション[Miakashi_silver]_2320×985mm×6panels_Acrylic on wooden panels
for Hyatt hotel, Dusseldorf, Germany_2010


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