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風邪をひけば花屋が儲かる 2
「もっとジャイアンみたいにワガママにしないといけませんわ、誰か良い人いないかしら?じゃ見つからないでございますょ!」
問題
店舗を持たない業販用の花屋を営むも営業が不得意な私がどうやったら売上を伸ばせるのか、偶々知り合った相談屋に話したが、具体的にどうしたら良いのか分からなかった。
相談屋の話しには目標を具体的に設定する事が重要だと言っていたが、売上目標はとりあえず月間で120万と決めたし、働く時間も1日6時間とした
「売上上げる方法?そんな事、私は知らないですよ〜 貴女が知っているですよみゆきさん。」
相談屋の奥野ツバメは大体いつも笑顔なのだけど、ちょっと違和感を感じる、本心から笑っていないというか、目が笑ってないからだろう
質問に素直に答えてくれないし、答えを知ってるけどはぐらかすような曖昧な表現かと思えば、答えるのに困るような、難しいような質問で更に悩むようになった
定義
目標(理想) − 現状 = 今やるべき事
ツバメが力込めて話してくれた事はこの法則だった。これはちょっと理解出来る
サービス業の本質も誰かの笑顔が見たいからと自分で出した答えなのだから納得した
紫陽花
梅雨が明けたばかりだったが、大気の状態は不安定で時折晴れているのに雨が降る
近所の公園を歩いていると紫陽花たちが短い梅雨を惜しむかのように一生懸命咲いている様子が、夏休みを惜しむ子供のように見えてなんだか愛おしく思えてきた
移り気
アジサイの花言葉は沢山あり、代表的なのが浮気、移り気なんだけど、土壌の成分に応じて色が変わるからある意味従順なだけなのかも
そんな事を考えながら歩いていたら、小さな子供を抱えた母親がスマホを持ってこちらに寄ってきた
「すいませーん、写真撮ってもらえませんか?」
イマドキのスマホは写真画像が素人でもすごく良く撮れるし連射機能で自然な表情も引き出せるからスゴい
私の子供の頃なんてカメラを意識し過ぎてハニカンダリ、ちゅうと半端に目を閉じたりしてベストショットがなかなか無いからアルバムを人に見せることがちょっと恥ずかしかったけど、イマドキの子たちならすっごく良い写真多いだろうなぁ
家族会議
店に戻って妹達と話合う事にした。ツバメの話を思い出したのだ、
「みゆきさんの敵はなんでも自分で背負ってしまう自分です✨」
議題
今より月間売上を60万平均伸ばす為に具体的に何をするか
それぞれ提案を聞き出してカレンダーの裏側に書き出して見た所、妹達もそれなりに考えていたようで、季節に応じたイベントや花言葉を添えて鉢物をネットで販売しよう!など活発な提案が出て来たが、どれもターゲットが広すぎて薄利多売になりがちだった
一旦休憩
コーヒーを飲みながらツバメからのヒントについて妹達に話した
★エグザイルのコンサートの紙吹雪
Google検索して見たら彼達のコンサート紙吹雪には感謝の言葉や、歌の歌詞などが印刷されていて
そのままならゴミになる物も、思い出として持ち帰る記念品になるという、とても芸が細かいなと感心した
私達の扱う花もイベントが終わればゴミとして処分されてしまう。ドライフラワーにする方法もあるが、手間暇かけた割に需要が少ないし単価が合わないので手が出しづらい
★共働き夫婦 忙しい妻への旦那からサプライズ
リゾートホテルなどて、お風呂に薔薇を浮かべたり普段では想像付かないような非日常を用意
コレは確かにプレゼントとしては良いかも知れないけど、花の種類や、効能、敏感肌などアレルギー対策、後片付けもセットにしなくてはならない
割に合うのかしら?
「やる前から決めつける常識人な自分が敵」
ツバメの言葉が脳裏をかすめる
だんだんと煮詰まって来たけどモヤッとした視界にピントが少しずつ合って来たような気がする
「今日ね、公園で親子が紫陽花を背景に写真撮ってたのよ、 って言うか撮ってってあげたのよ」
その話で妹が反応した
「ねぇちゃん!ソレだよ フォトセット!!」
好きな花を背景に写真を撮らせる場所を提供する
次の主婦マルシェでソレやって見よう!家族会議は
一応まとまった形となった
マルシェ当日
子供を寝かせるブースを作りソコに花を飾る
写真は当人達に撮ってもらう方式で10組ほど喜んで帰った様子
イベントが終わり反省会
「写真を撮ってあげたほうが良かったのでは?」
妹が口火を切り出した
「でも素人じゃ 満足させられる自信が無いし専属カメラマン雇うほど単価上げられないし〜」
「人件費から考えてもブースに2人掛かりきりになっても割に合わないんじゃ?」
「今度は子供を抱っこしたまま撮れるように縦型のボードにしてみたら?」
「個人のカメラマンで知り合い居ないかな?」
「当たってみるね!」
そんな訳で知り合いにカメラ得意な人を片っ端から電話をかけた
ちょっと気が引けたけど奥野ツバメにも電話してみたら
「あら、みゆきさん〜風が吹いてきたようですね〜☺良かったわぁ」
でも、もっとジャイアンみたいにワガママにならないと、誰か良い人居ないかしら?じゃ見つからないでございますょ!
もっと具体的に絞って下さい。その人は写真を撮れてさえいればいいんですか?笑顔を引き出したり子供をあやす事が出来たり、男性なのか?女性なのか? 年齢は?趣味は?住んでる所は?
みゆきさん貴女が今やっている行動は、大勢の人が行き交うスクランブル交差点で
「誰かぁ〜手伝ってぇ~」って大声で言ってるような物ですょ
例えば結婚相手を探す時くらい絞りこんで、
年齢30才〜50才 健康 年収1000万 趣味キャンプ 私は25才 趣味はキャンプと音楽 好きなアーティストはデュランデュラン(ツバメの好み)
アピールポイント
私と結婚したら料理が得意だし、家事洗濯は週に5日はキッチリやります!実家は大きな一軒家なのでリフォームすれば同じ敷地でもプライベート重視した暮らしが出来ますよ~
くらい細かいでしよ、そしたら相手から
「あ!その条件なら俺ちょっといけるかも!」
ってなるんで、求人するときは
求める条件をしっかり掘り下げて、受け入れ対応する側の状態を明確にしておけば、あとは反応みて条件を緩めたり改善すればヒットするまで時間の問題です✨
あ!ちなみに、この方式はジャイアンの方式って言います。ツバメが考えました☺ この方式は
売上を上げる為にも適応しますのよ
「あ、ありがとうm(_ _)mじゃまた連絡します、」
ツバメと話をするとなんだかすごく疲れてしまうけど、だんだんとやるべき事が絞れて来た気がする。
目的と手段
冷静になって考えたら、売上を増やすならカメラマンを探すのではなくフォトスタジオに花撮影企画を売りに行けばなんだか早そうね
ホテルや、式場も結婚してからお子様が生まれたりした時に撮影をアフターフォロー(長期的営業)として企画を提案してみたらどうかしら?
窓の外を見るとタチアオイの花が一番上まで咲いていた。モヤモヤと悩む梅雨が終わりを告げカラッとした夏が始まること予感させてくれているように思えてきた
続く
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