鏡花水月の庭園

夕焼けが西の空に消えかかる頃、ウサギとカメは、ダイバーシティ東京の巨大なガンダム立像を通り過ぎ、シンボルプロムナード公園へと足を踏み入れた。

「私に見せたいものってなに？」とウサギがカメの顔をのぞき込んで尋ねると、彼は少し照れくさそうに微笑み、「もう少しだけ、秘密にさせてくれないかな」と答えた。

周囲は次第に人影もまばらになり、寂しさが漂い始めた。しかし、目を凝らしてみると、前方に小さな光がちらほらと見えてきた。

「着いたよ。ここが見せたかった場所だよ」ウサギは彼の言葉を聞きながら、目の前に広がる光景に息を呑んだ。「こんな場所があったなんて。すごく綺麗！」

ラブ・ライトピア  「ひかりの蓮池」

ウサギはオブジェの一つ、「龍ノ栖」に走り寄った。「龍が住む場所って、こんな感じなのかもしれないわ。輝く蓮華の中に龍がいて、それを宇宙が優しく包み込んでいるの」

幽玄美と空白美を意識した光の枯山水 「龍ノ栖 」

「希望のたまごをじっと見てると、小さな蝶から成り立っていることがわかるわ。姿を変えていく蝶のように、たまごも光によって姿を変えていくのね」

意識という光を灯す「希望のたまご」

ひときわ目立つ巨大な半球の前に来ると、カメが言葉を作った。「この美しい星は、きっと地球のことだね」

ステンドグラスのような「美しき星」

「鏡に映る花のように、水に映る月のように、世の中には目には見えても手に触れることのできないものがある。それをウサギさんに感じ取って欲しかったんだ」と、彼は静かに言った。

「本当に不思議な世界ね。まるで夢の中にいるようだわ」彼女の言葉に、カメは静かにうなずいた。「こうして、何も考えずにただ感じるだけって、本当に久しぶりな気がする」

この瞬間、きらめく光も耳に流れ込む音も、そよぐ風が頬を撫でる感触さえも、その全てが二人の感覚を穏やかに揺さぶっていた。