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同世代のペンギンたちへ。

私たちはある時、「学校」という、同い年だけで集まっていた箱から社会に放たれる。

「社会」という広い海に出る時、最初は「同期」という、言ってみれば学生の延長のようなかたまりで過ごした。
おっかなびっくり、ペンギンのように波打ち際を行きつ戻りつしながら、自らを慣らしていくのだ。
その水の冷たさや、波の荒さや海の深さに。
終わりのない、果てしない感覚に。
徐々に、羽は力強くなり、足も逞しくなっていった。
海に、慣れていったのだった。

そうやって、ある人は自分の道を見つけ、ある人は自分だけの何かを追いかけ、いつしかペンギンたちは別々の道を堂々と歩きだす。

でも、時には集まって、あのよちよちと砂の上を歩いていた頃の思い出話をする。先輩につつかれたり、波に足を取られて転んだり、道に迷ったりした思い出を懐かしく話し合って、今は会えなくなった仲間の話なんかをしながら魚を食べて…
あ、そういうときは、ビールかな笑。

だからなのでしょうか。
今ではすっかり慣れた広い海を泳いでいて、偶然同世代に出会ったりすると、途端に親しみが湧いてしまうのは。
仕事の繋がりで出会った人が、同い年だなんてことがわかると、理屈抜きにあっという間に仲良くなってしまうのは。
私たちが社会人になったころは氷河期で海も冷たかったねとか、
消費税が変わった頃はこうだったねとか、
そんなささやかなことで、同じ時期を同じ年齢で過ごしていたことを実感し、ずぅっと前から友達だったような気がしてしまうのかもね。

そんなわけで、私と、全然部署の違うあの子が仲良しなのを、不思議に思う人もいるかもしれないですね。
在宅勤務が長期化している私たち。
久しぶりに会って、あなたと話して、あなたと些細な世間話をして、その笑顔を見ていたら、とってもホッとしたのでした。
ペンギンの頃のあなたを知らないけれど、これからもよろしくね。


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