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おきにいり

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窓枠

窓枠

実家の自分の部屋は2階東側の部屋だった。

東側と北側に窓がついていて、
団地に入っていく大きめの道路に面していた。

遠くには名取の海が見えて、
晴れた日には白く大きな船が見えた。

そこに腰かけて風を感じるのが好きだった。
落ちそうになったこともあるけど、
足がすーすーして、
頬を撫でる風が心地よかった。

スケッチブックを持って
お絵描きをしたりもしていた。

なんだかいつもより上手く描けた

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大丈夫だよ、そのままあるいていこう。

大丈夫だよ、そのままあるいていこう。

この道で本当にあっているのかな。

あの時、違う選択をしていたら、僕はあの人のようになれただろうか。

なんて、どうしようもないことを考える。

僕の選択が間違いか、どうかなんてわからない。

ううん、間違いなんてないはずなんだ。

沢山の選択肢のなかで、今ここにいることを選んだこと、

僕にしかできなかったことだし、君だけのものなんだ。

だってそうでしょう?同じ生き方をする人なんていないよ。

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てんきあめ。

てんきあめ。

夜露に濡れた月は

滲んでぼやけた

現実か幻想か

境界がわからないな

悪夢だったな、なんて

笑いあえる未来は来るのかな

秋色の衣を脱いだ街と

心地良いそろった足音

吐く息が白くて

想ってること

考えてること

通じ合ってるのかな

なんて野暮な事考えてる

どんなに頑張っても

僕は君にはなれないし

君は僕にはなれない

だけど、僕は君の事を知りたいし

知ろうする事を諦めたく

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よる。

よる。

何かを忘れようとして

それを飲みほす

のどが熱い

意識が迷子

思い出したくなかった

私の中から無くそうとしていた

なくならなかった

溶けきれず残ったシュガーのように

ざらりとしていた

君の名前を呟いた

それは落ちて何処かに転がっていった

それを見つめた

見えなくなってから

もう僕のものじゃないって気づいたんだ

時計の針を指で戻しても

時はずっと進むだけ

立ち止まりた

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途中。

途中。

見慣れた景色は少し離れている間に姿を変えていつか来た時にはもう知らない景色に変わっている

この言葉だけを
今日パッと思い浮かんで
ケータイを取り出して
メモを取った

大切だとして来た場所
ずっとこのままであると思っていた事
それは 変わらないもの ではない と
そう気づいたのだ

数ヶ月前までは毎日通っていた
あの道をあるってみた

新しい建物が増えて
改装してるお店があったり
道路が広くなっ

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少し寄り道。大回り。

少し寄り道。大回り。

がたんごとん

久しぶりの電車
今日は初めての特別快速石巻行

石巻には行かないんだなぁ、
このまま終点まで行きたいものではあるが

快速ってすごい。とっても早い。
時々乗る電車とはスピード感が違うや。

こう、体が置いていかれる感じ。

不思議な感覚

スピード感は全く違うけど
気分的には飛行機と同じ

せっかく仙台市民なんだから
各地に線路が広がる
東北の中心なんだから
やっぱりもう少し電車に

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夏

じっとりした暑さ
太陽の光が肌を焼く
肌と同じ空気なんじゃないかってくらいの風をきって少し急な坂を下る

学校に行きたくないなぁ、
なんて思いながら
でも来週はテストだからなぁ、
なんて考えて
遅刻ギリギリの時間に家を出る

学校までは自転車で5分とちょっと
いつも全力で漕ぐ道

今日は少し諦めて自分のペースで漕いでみる

街路樹の緑が気持ちいい
あぁ夏が来るなぁ、

夏はあまり好きではない

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雪降る日。

雪降る日。

誰かを想う気持ちを持つ人を見ると、とても美しいなと思う

それを”ウタ”や”コトバ”で表現されると、さらにそれを感じる

幼い時からずっと好きな感情だったからこそ、なのかもしれない

儚さや、脆さを感じるものが好きだ

季節、自然、時間、そのすべてを大切に感じることができたらなんて素敵なんだろうと思う

僕はまだ、すべてを大切に思うことはできていない

くやしいな

”丁寧に生きていきたい”

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