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本のある場所へ・番外編

今回は番外編として、本が「なくなってしまった」場所です。

場所は、三宮地下街の「さんちか」三番街。ジュンク堂書店さんちか店が、今年一月末で閉店となりました。(下の写真は営業時の様子)

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この場所には個人的な思い入れがあります。それというのも、私が10年ほど前に書店員デビューを果たした場所なのです。ジュンク堂が入る前の、別の本屋ですが(後述)。

なので、今回も別の本屋が出店しないかなぁ、と一応(期待せず)待ってみたのですが、やはりというか、そういった展開はありませんでした。泣。先日「さんちか」に立ち寄ると、リニューアル後のフロアマップが掲載されており、そこに書店の名前は無かった・・・。というわけです。

下記の画像でいうと、さんちかホールとカフェモロゾフの上側~SJ KOBEの下方に当たるスペースが本屋でした。こうして見ると「広大」です。

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振り返ると、ジュンク堂さんちか店がオープンしたのは2013年秋のことで、約8年間の営業でした。上述の経緯があるため、閉店という事実にはショックを受けつつも、まぁ十分な「延命」だったのかな、とも感じます。

この感慨にも理由があります。Wikipedia などをみると、地下街「さんちか」の開業が1965年(昭和40年)。それと同時に「コーベブックス」という書店がオープンし、2002年までの長きにわたり(かつ、阪神淡路大震災を乗り越えて)営業。⇒直後に福家書店が東京から進出する形で出店し、2013年秋に閉店。⇒ジュンク堂出店。こういった歴史があります。

(コーベブックスについては、敬愛する平野義昌さんのweb連載を参照させていただきました。貴重な内容です。)

http://www.mizunowa.com/soushin/honya.html

このように、「さんちか」内の書店には56年間もの長い系譜があったのです。その中で、私が書店員デビューしたのは2011年12月。福家書店のアルバイト臨時募集でした。今から思うに、既に経営状態は危険水域に入っていたようです。2013年に入って撤退が決まる前後、(もちろん経営者目線での数字やら何やら、新人アルバイトが知るよしもないのですが)最後のどたばたは凄いものがありました。在庫を減らすために面陳を増やし、さらには棚の段数を間引いて、といった具合にどんどん、品揃えがスカスカになっていきました。見る人が見れば、すぐに分かっちゃうんだろうなぁ、という感じ。

そういう訳で、ここは(自分も末席を占めた)書店が存続を断念した場所です。全く同じスペースで、他の書店が営業していくことは可能なのか。地元企業であるジュンク堂なら何とかなるのか。たいへん気になって、というか単純に便利なので、よく訪れました(最後の2年弱は雑誌の定期購読も利用しました)。

そうこうしての8年間です。この継続というのは、ずい分難しいことだったのではないか。そう思います。おまけに今は、三宮が丸ごと再開発に向かっている事情もあります。(さんちか一番街と二番街の営業終了もニュースになりました。)

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最後にひとこと。ジュンク堂さん、ありがとうございました。

本日は、以上です。

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