見出し画像

何にでも「個性」を出すのは難しいもので・・・

つい先日、久しぶりに午後からの有給が取れたので映画を観に行きがてらお出かけをしたのだけれど
その時に映画館が入っているビルの中のレストラン街で「ジャパニーズウイスキー専門BAR」というものを見つけた。

日はまだ高いが、映画が始まるまでは1時間ほど余裕がある

「これはこのバーに入れという天啓だな」

と思い、さっそく扉を開けて中に入ってみた

シックな店内でいかにもオーセンティックなバーだけど、その名の通りバックバーに並ぶのは全てジャパニーズウイスキー。

山崎や白州、余市や宮城峡などは言うに及ばず、イチローズモルトや岩井などのラインナップも充実していて「さすが「専門店」と名乗るだけあるな」と感心した。

その中でもこの日飲ませて頂いて特に面白かったのは
長濱蒸留所の「AMHAGAN」(逆から読むと「NAGAHAMA」(長濱)となる)その中でも山桜で後熟したという「山桜エディション」だ

全体的に「和」のテイストで味は桜餅のような甘さだけど、果物系の甘さではなくてウッディさが草木の甘さをイメージさせる。
後味も少しドライで鼻に抜ける香りも香木のような感じで
「甘ったるくない甘さ」言えば想像しやすいだろうか。

グラスに注いだ瞬間から手元まで香ってくる桜の香りは非常に面白く、味も文句なしに美味しかった。
これは次回はハイボールかロックで飲んでみたい一本だったな。

さて、これを飲みつつマスターと話が盛り上がったのは「クラフトディスティラリーの特徴って?」みたいな話だ。

少し前まではウイスキーと言えばスコットランド、アイルランド、アメリカン、カナダディアン、ジャパニーズといったいわゆる「世界5大ウイスキー」がバーや酒販店でよく目にしてきたが、最近はそれ以外の地域のウイスキー、例えば台湾の「カバラン」やインドの「アムルット」などが出てきたり、日本でもサントリーやニッカの蒸留所以外に「イチローズモルト」や「岩井トラディショナル」といった蒸留所も成長著しい状況だ。

そこからここ数年ではさらに地域に根差した蒸留所「クラフトディスティラリー」がウイスキーを作り出し、個性を競っている。

さきほど飲んだ「AMHAGAN」もその一つで長濱で蒸留を開始したのはほんの数年前、しかしあれだけ突出したものを作れるのは本当に凄いと思う。

ではそのクラフトディスティラリー全てがそこまで突出した個性を持っているかと言われると、僕個人としては少し首をかしげたくなるところもあったりする。
これまた超個人的な言い方だけれど、さきほど名前を挙げた台湾の「カバラン」は短期熟成でも非常に美味しく完成度は高いと思う。
でも「これが台湾ウイスキーの味」と言われると正直なところ首を傾げるところだ。

もっと突っ込んで言うと「これでしか味わえない味」ではなく「どこかで飲んだことある味」ということ

いわゆる5大ウイスキーにはそれぞれ割とハッキリとした特徴があり、それこそがウイスキーの面白いところだと思っている。
翻って台湾やインドや日本のクラフトディスティラリーがそこまでハッキリとした特徴があるのか?
確かに特徴がよく分かる物もあるけれど、どうしても「無難に置きにいってる感」がある物が多いように個人的には感じてしまう。
商売だから売れる辺りの物を作るのは当然だし、バクチをしづらいのも分かる。
しかし何度も引き合いに出すがAMHAGANの山桜からは「これが私達だけのウイスキーです!」という主張がガツンと伝わってきた

別に変わり種がそんなに多く見たいわけじゃない、けれど数多あるウイスキーの中で「どこにも真似できないそこだけの1本」というものが今以上に多くなった時飲み手である私たちの選択肢もまた今以上に広がると思うのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?