ジュリアン・レイジの新作
エレクトリック・ギターはアンプから出る音が勝負。
ジャズやってる人は普段フルアコを弾いてる人が多く、するとアンプから出る音ではなく、ギターが発する音が大切で、アンプはそれを増幅させるだけのもの、と考えているのではないか?と思うくらいアンプとかエフェクトとかにこだわらない人がいる。
ジュリアン・レイジの新作。
「Arclight」
https://itun.es/jp/jI7aab
賛否両論だとは思いますが、私はちょっとショックでした。
彼らしくない、というか。
プレイは素晴らしい、はずです。
でももし彼が初めて発表したアルバムがこれだったなら、申し訳ないけどその後は聴く気にならないと思ってしまった。
音が好きになれない。
ジュリアンは普段フルアコやアコースティックを弾いていて、フルアコの時はエフェクトを使わずアンプ直らしい。
フルアコやアコースティックを弾く彼の音は素晴らしく、こんなに良い音が出るのか?と考えさせられるくらいのものです。
ところがこの新作、テレキャスを弾いてるらしいのですが、音があまり良くない。
彼らしさがない気がします。
アコースティックはもちろん生で聴こえるか音が勝負です。
アンプを使うと言ってもフルアコもそれに近い感覚があります。
が、ソリッドはアコースティックのボディの代わりにアンプがある。
テレキャスなどのソリッドを普段メインで使ってる人は当然アンプから出る音にこだわります。
パットはフルアコですが、昔からディレイやリバーブを使って、さらにギターシンセを使ってエレクトリック・ギターのサウンドを追求してきました。
ジョンスコはセミアコも弾きますがテレキャスも弾きます。彼の弾くテレキャスはテレキャスにしか出ない音です。
元々ブルースにルーツがある彼もエフェクトを上手く使い、歪みも上手く使って彼なりの音を追求してる。
マイク・スターンはソリッド。
ビル・フリーゼルはフルアコよりソリッドが多く、アンプから出た音も素晴らしい。
ですが、このジュリアンの新作。
彼はエレクトリック・ギターの音を追求してるようには思えない。
フルアコと同じ感覚でテレキャス弾いてもダメだと思います。
これまでの彼のアルバムも聴きましたが、彼にしか出せない音と音楽で素晴らしいなと思いました。
で、テレキャス弾いてるということで期待たっぷりで聴いたんですが。
このままこの感じでいくなら、エレクトリックとしてのギターを考えていかないとダメなのではないか?
つまりあんなに上手いのにもったいない、と思ってしまいました。
ジャズやってる人の中にはこうしたエレクトリックとしてのギターに疎い人がいます。
ギターだけで素晴らしい音を出すことを追求したいのはギター弾きとしてよくわかる。
でもパットにしろ、ジョンスコにしろ、あくまでエレクトリックとしてのギターの音をちゃんと考えて弾いてる。
コンテンポラリーなジャズやってる人もアダム・ロジャースやマイク・モレノなんかはちゃんとエフェクト使ってエレクトリックとしてのギターを弾いてる。
エフェクト使えばいい、ってことでもないですがそれならフルアコとアコースティックだけで勝負するべきだと思ってしまう。
エレクトリックは弾き手がいて、その音を拾うピックアップがあってコンデンサなどを通ってアウトプットされてシールドを通ってアンプで増幅される。
この当たり前の事実をちゃんと踏まえて音作りすべきだと思います。
テレキャス弾くならテレキャス、ストラトならストラト、レスポールなレスポール、それぞれのギターを引き出すのが弾き手の役割。
この音だとテレキャスの良さがあまり感じられない。
まだ若い、と言ってしまえばそれまで。
今後もテレキャス弾くならもっとやり方考えたほうが良いと思う。
あまりショックだったので書いてみました。
次回、テレキャスらしさを生かして素晴らしいアルバムを作ってくれることを期待します。
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